H&Mが「日本限定商品」なしでも戦えるワケ 上陸9年目、閉店ゼロを続ける大胆戦略の秘密

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セイファート社長が強調するのは「ファッションはグローバルなもの。パリであっても東京であっても、グローバルなトレンドは変わらない」ということだ。そのため、日本限定商品や日本向けの商品開発が必要だとは考えていない。

2月に就任したルーカス・セイファート社長は2017年度の展開について、「レディスやメンズ、キッズなど、さまざまなジャンルの商品がある。多様性をみせていきたい」と語る(記者撮影)

H&Mは世界規模のファッショントレンドを注視している。「顧客がどのような商品をほしがっているのか」という点については、どの地域でも同質化が進んでいるという。

もちろん、地域ごとのトレンドも重視した商品作りも進めているが、毎期投入する商品を取捨選択することで、需要に応えられると考えている。

「たとえばレディスにしても、さまざまなコンセプトの商品がある。ベーシックな商品からオフィスで着るための商品、10代向けのファッションもある。幅広い商品があるので、”この地域ではこの商品がこれくらい売れる”とボリュームを調整することで地域に合った品ぞろえを実現できる」(セイファート社長)。

年間10~15店舗を着実に出店

新規出店については、2017年度は年間で10~14店舗ほど出店する計画だ。地方であれば確実に集客が見込めるイオンモールなどのショッピングセンター、都心部は路面店を中心に出店していく。直近の事例としては、日本から撤退を決めた米ギャップ傘下の低価格アパレル「オールドネイビー」の跡地である「イオンモール沖縄ライカム」に、沖縄1号店を出店(4月)することが決まっている。

H&Mはあくまで地道に出店を続ける構えだ。セイファート社長は「日本にはユニクロが800店舗以上、ZARAが約100店舗ある。H&Mは規模が小さく、まだまだポテンシャルがある」としつつも、「年間10店から15店の出店を続けていきたい」と語る。2016年4月にはオンラインストアを開設した。ネットで商品を注文して店舗で受け取れるようにするなど、実店舗と連携したオムニチャネルの取り組みも進めていく。

国内アパレル業界で地道な展開を続けるH&Mは、今後どこまでポテンシャルを発揮できるのか。めまぐるしく変わるトレンドをとらえ続け、日本の根強いファンを増やしていくことが成長のカギになる。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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