加齢に伴う「不眠症」が実は軽視できないワケ 「寝なくても大丈夫」なわけではない
疾病とは無関係な不眠症には、メイヨークリニックの睡眠のスペシャリストだった故ピーター・J・ハウリが開発した「快眠健康法」によってかなり対処できる。この方法では、次のようなことを行う。昼寝を1日30分未満に限定し、できれば午後早めの時間にする。刺激物や鎮静剤を控える。就寝2~3時間前には大量の食事はとらず、水分も最小限に控える。毎日、できれば午前中か午後早めの時間に、適度な運動をする。日中はできるだけ明るい光を浴び、夜間は最小限にする。快適な睡眠環境を整える。眠いと感じ始めてからベッドに行く。
それでも、ベッドに入って20分ほど経っても眠れないときは、一度寝室から出ることを専門家は勧める。何かリラックスできること、たとえば本を読む(明るいスクリーン上ではなく、紙に印刷されたもの)などして、眠気を感じたらベッドに戻る。
アルコールや睡眠薬には注意が必要
誤って眠るためにアルコールに頼る人は多い。しかし、前出のアビダン教授や他の研究者らの報告によれば、アルコールは最初の入眠を助けるかもしれないが、睡眠が細切れになり、レム睡眠を妨げるという。
さらに不眠について助けが必要であれば、認知行動療法が最も効果を発揮することが臨床試験で示されている。ただし、地域によってはなかなか専門家を見つけられないかもしれない。
睡眠薬は、特に副作用が出やすい高齢者の場合は問題となる場合がある。たとえば、睡眠薬の効果が翌日の日中まで持続するなどだ。ザレプロン(ソナタ)やゾルピデム(アンビエン)、ラメルテオン(ロゼレム)など短時間型のものでも、副作用が起きる場合がある。
このほか、メラトニンやバレリアンなど、市販されているものを用いる方法もある。ただし、その有効性の裏付けは、研究よりも事例によるもののほうが多い。メラトニンは自然な眠気をもたらすホルモンで、暗さに反応して分泌される。
食事による療法も効果があるかもしれない。たとえば、バナナ、チェリー、キウイ、オートミール、牛乳、カモミールティーなどだ。しかし、これらの効果も基本的には、研究ではなく事例で示されているものが中心だ。私の友人は長く続いていた不眠の問題を、就寝の2時間前にバナナを食べることで解決したと話している。
(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:東方雅美)
© 2017 New York Times News Service
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