シャープへの届かぬ“想い"、鴻海の本音

鴻海の研究開発子会社、シャープ出身社長が明かす裏側

――そうなると今後、シャープとの資本提携交渉はどうなりますか。

矢野 私はまとまる可能性は、まだ残っていると思います。というのも、シャープと鴻海のこれからの成長戦略を考えたとき、2社が組むのが自然な流れだからです。シャープの事業で今後伸びる可能性があるのは、白物家電や複写機でしょう。いずれも新興国市場の攻略が不可欠です。鴻海の生産力や、部品の提供力を考えれば、その場面で十分に貢献できます。

鴻海にしても、自社のパネル工場は、イノラックスの工場以外に一つしかありません。イノラックスは汎用品向けのパネルが中心であるため、シャープの亀山工場のパネルを使えると、互いにとっていいことです。

――では、なぜ資本提携交渉はまとまらないのでしょうか。

矢野 やはり、お互いの文化のすれ違いが大きいのでしょう。特にシャープ側が台湾資本を入れることに、警戒が強いのかもしれません。本来は経営陣が社員に根回しして、誤解を解かなければいけませんが、そこが十分ではなかったのかもしれません。

シャープ出資の狙いは日本企業への愛着

――そもそも鴻海はなぜ、シャープに出資しようとしたのですか。狙いはシャープの技術なのですか。

後藤 そこは、根本的に誤解があります。今、冷静に考えて、ディスプレーはお金が儲かる事業ではありません。それなのに、なぜ鴻海がシャープと組もうとしたのか。もちろん、ディスプレー事業を手に入れたいというビジネスの目的もありますが、いちばんの理由は日本企業への愛着なんです。

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