孤高のホンダが「仲間づくり」を始めた理由 ハイブリッド・EV用モーターで日立とタッグ
合併や買収、提携など世界中で再編の進む自動車業界。その中にいながら独立意識の強かったホンダが、「脱自前主義」へ急激に舵を切っている。
ホンダは、昨夏にソフトバンクとのAI(人工知能)の共同研究を発表して以降1年足らずの間に、他社との協業を立て続けに5つも発表してきた。米グーグルと完全自動運転に関する共同研究について検討を始めたほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)と合弁で燃料電池車(FCV)用部品の生産子会社を設立するなどしている。
独立主義を貫いてきたホンダの”焦り”
そして2月7日、そこに6つ目が加わった。今度は日立製作所傘下の自動車部品メーカー・日立オートモティブシステムズと、ハイブリッド(HV)や電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)といった電動車用モーターの開発・生産を担う合弁会社を新設することになったのだ。2月3日に基本合意書を締結し、今年7月の会社設立に向けて具体的な協議を開始した。
自動車業界は、パワートレーンの電動化や自動運転、AIなど、開発すべき領域が年々広がっており、巨額の研究開発費が自動車メーカーを圧迫している。
年間1000万台の販売規模を持つトヨタ自動車はグループ内の企業に加え、富士重工業やマツダ、スズキなどとも業務提携し、次世代技術の開発競争に勝つべく仲間づくりを活発化している。日産自動車もルノーや三菱自動車とアライアンス(連合)を組むことで、1000万台規模のグループをつくり、開発力の相互補完や生産・部品調達におけるスケールメリットを狙っている。
一方のホンダはGMとのFCV開発を除けば自動車メーカーとの提携関係を持たない。年間500万台という販売台数のホンダが、独立独歩で未来の技術開発を進めるには限界がある。だからこそ八郷隆弘社長は昨今、「電動化は部品メーカーとの協業で効率を高め、AIや自動運転はオープンイノベーションで加速する」という言葉を繰り返してきた。
日立とタッグを組んだのは八郷社長の狙い通りだ。また、電動車用モーターでの協業はほかの5つの案件よりも重要度が高いといえる。完全自動運転やFCVの普及はまだ10~20年先の話だが、HVやEV、PHVの本格普及は目前に迫っているからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら