孤高のホンダが「仲間づくり」を始めた理由 ハイブリッド・EV用モーターで日立とタッグ
電動車の開発競争は激しさを増すばかりだ。EVベンチャーの米テスラは今年中にも、300万円強という普及価格帯の小型車「モデル3」の納車を始める。EVの普及が急速に進む中国では、BYDなどの地場系メーカーが電動車で力をつけつつある。排ガス問題に揺れた独フォルクスワーゲンは2025年にEVを年間200~300万台を販売すると宣言し、2016年12月にはトヨタがEV量産化に向けた社長直轄の新組織を新設した。
EVにとってのモーターはガソリン車にとってのエンジンと同じで、車を駆動させる重要部品。ホンダはこれを日立と一緒に開発・生産することになる。出資比率は日立が51%、ホンダが49%であり、基本的には、「ホンダよりもモーターの経験が豊富な日立がこの合弁会社の経営を担う」(八郷社長)のだという。
自前ではモーターを賄いきれない
トヨタや日産と同じく、ホンダも現状では電動車用のモーターを全量自前で、すべて国内で生産している。
2015年11月には中大型車向けHVモーターの量産を浜松の工場で開始し、2ライン目が2016年7月に、3ライン目が10月に稼働したばかり。鈴鹿製作所でも2016年8月から小型車向けHVモーター用の新ラインが動き始めるなど、国内では立て続けにモーターの生産能力を増強している。
ただこれだけ投資をしても、ホンダの掲げる「2030年に新車販売台数の3分の2を電動化する」という目標の達成には国内の生産能力では到底足りない。日立はすでにGMのEVなどにモーターを供給してきた実績がある。モーターの生産は大きな設備産業で莫大な投資がかかるため、中途半端な規模でホンダが独自に投資をするよりも、すでに量産技術を持つ日立とスケールメリットを活かして製造するほうが効率的と判断した。
現在の電動車の最大市場は北米で、次に中国が続くとされる。ホンダと日立の合弁会社は、ゆくゆくは両国でのモーターの現地生産も始めるために子会社を設立する計画だ。
電動車の中心部品となるバッテリーやインバーター、モーターといった部品については、競争力の高いものを部品メーカーから買い集めることで、ホンダ自身は車一台に組み立てるところに開発のリソースを割き、自動車メーカーとしての競争力を発揮していく構えだ。
電動化は自動運転と並ぶ自動車業界の重要テーマ。その基幹部品ですら自前主義を貫かなくなったホンダ。これは自動車業界の急激な変化に乗り遅れないための、苦渋の決断なのかもしれない。
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