昭和少年のバイブル「鉄道大百科」誕生秘話 「ケイブンシャ」名編集長との出会いが決め手
原稿執筆にあたっては交通博物館、国会図書館などで鉄道資料をあさり、それを参考に執筆しました。さらに図版にしなければならないイラストは、知人の漫画家に依頼したほか、簡単な図表やイラストは、私自身が昔アニメの仕事をしていたこともあり、自分で描きました。奥付のイラスト欄にはペンネームで掲載しました。これは初告白です。いろいろな鉄道知識を知ると、この本を書き上げる頃には、私は立派な鉄道マニアになっていました。
1976年にこうして勁文社の鉄道シリーズの第1作『世界の鉄道 機関車・電車大百科』(南正時・監修)が出版されました。出来上がった本は最初に国鉄のPRコーナーの広報に届けました。当時子ども向けの鉄道本はほとんどなく、「とても画期的な本だ、鉄道を子どもたちに知らせる本……」と高く評価してくださり、PRコーナーの図書コーナーの蔵書になりました。以後、国鉄広報部からは子ども向けの鉄道本の刊行にあたっては多大な取材協力を受けることになりました。
すぐに第2弾が決定
発売してしばらくすると編集次長の竹内好和さんから電話があり「売れ行き順調で、注文が来てすぐ増刷する」ということでした。増刷するといっても印税は入りませんが、すぐ酒井さんがわざわざ家にやってきて「いいねえ、鉄道がこんなに売れるとは。オレにも先見の明があったんだ」なんて自慢しました。
「何言ってんだ、あんなにビクビクしてたのに」なんて私は内心はほくそ笑んでいましたが、酒井さんからは「すぐ、次の鉄道大百科を作ろう。どんな企画がよいか……」との要望がありました。そこで私のあこがれの鉄道だった「特急列車」をテーマに作ろう、と提案しました。
「それはいい、特急はカッコイイし、子どもが好きだからねぇ」と企画は一発で決定しました。「特急もいいけど、ほかにもいっぱい鉄道を入れてよ」という相変わらずの注文に、私は子どもたちの身近にある「私鉄」を取り上げることになりました。こうして決定した第2弾が『特急・私鉄大百科』でした。
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