トランプ政権「影の大統領」バノンの影響力 ニューヨーク・タイムズ紙の社説より
トランプはバノンに、NSCのプリンシパル委員会への参加資格を与えた一方で、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長とダン・コーツ国家情報長官の2人を格下げして、NSCの常任メンバーから外した。
こうした一連の動きは、官僚的な椅子とりゲームに見えるかもしれない。しかし、NSCの顔ぶれは、戦争と平和に関するトランプ政権の決定に大きな影響を与える。国家安全保障に携わる役割を正式にバノンに与えたことで、トランプは前例を破っただけでなく、安全保障問題を政治問題化させるリスクを抱えたことになる。少なくともそうした印象は免れない。
フリン補佐官をしのぐ存在感
今回の大統領令によると、ダンフォードとコーツがプリンシパル委に出席するのは、「その責任と専門知識に関連した案件が議論される時」にかぎられる。国家安全保障に関する議論に、諜報機関や軍からの情報は不要なのだろうか? こうした職にある人々は、たとえ歓迎されなくても大統領に真実を伝えてきたのだが。
就任からの1週間を見ると、トランプが、国家安全保障の意思決定に関する基礎知識や統治についての知的な素養、そして多種多様な国家を導くものをほとんど持ち合わせていないのは明らかだ。ダンフォードのような経験豊富な当局者に教えを乞う必要がある。
だが、バノンはトランプの娘婿ジャレッド・クシュナーと並ぶ、大統領の信認の厚い補佐官として自身を位置づけ、異論を抑え込んだ。その権勢はNSCのトップであるマイケル・フリン補佐官をもしのぎつつあると伝えられている。