日産「ダットサン」の復活と課題 新興国を開拓、インドに第1弾「GO」投入へ

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復活する「ダットサン」の第1弾となる「GO」

GOの大きさは、日産の「マーチ」よりやや小さめの、全長3.8メートル弱、全幅1.6メートル強。スタイルは、車内空間を大きくとれるオーソドックスな5ドアハッチバックだ。小型車にもっとも標準的な1.2リットル3気筒エンジンを搭載し、トランスミッションは低コストで信頼性も高い5速の手動変速(マニュアル)としている。オーディオ装置もスピーカーのみの装備で、音楽を楽しみたい場合は、別途スマートフォンなどを接続して使う方式にするなど、低価格化実現に細かな工夫も凝らされている。

仕様面だけでなく、もちろん製造面でもコスト削減を追求している。生産はチェンナイ近郊のルノーとの合弁工場(生産能力年間40万台)での現地生産とし、部材もほぼ全量現地調達。デザインは日本が担当したが、採用部品の決定など設計開発は現地に精通したインドの開発部門が担当した。

「性能・機能よりもコストが最優先」

部品メーカーに対しては、日産ブランド車とは異なる基準で大幅なコストダウンを要求しており、ダットサン立ち上げに合わせてインドに随伴進出した部品メーカーからは「性能・機能よりもコストが最優先。要求調達価格を満たすために必死」との声が上がる。

「ダットサン GO」の内装

日産のインド事業は、ルノー合弁工場で12年度は約20万台(うち日産車約14万台)生産したものの、インド国内での日産車販売は3.7万台にとどまった。シェアはわずかに1.2%で存在感はほとんどない。ダットサン投入を機に、16年までにディーラー数を100から300に拡大(日産ブランド含む)させるなど販売体制も急拡大させ、シェア10%の獲得を目指すとする。

ただ、インド自動車市場は長期的な拡大は確実視されるものの、足元は前年同月比マイナスが続くなど勢いを欠く。さらに、マルチ・スズキ(シェア3割)やタタ(同2割強)など上位メーカーの反撃だけでなく、インドで出遅れていたホンダ(同2%強)も新工場の建設を再開するなど、下位メーカーのシェア拡大に向けた取り組みも加速している。「ダットサン」の復活緒戦は、並み居る競合とのハードな戦いが予想される。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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