勝田さんはアジアからの日本への留学生、特にベトナムからの留学生と交流を深めている。学生によっては身元引受人もやっているという。
きっかけはベトナムの社会構造に注目しベトナムのベンチャービジネスに出資を始めたことだったそうだ。勝田さんはこう打ち明ける。「40年前の日本そっくりの人口構造なんだよね。人種も穏やかで勤勉。アジアへの投資を考えはじめたきっかけはそこなんだ。ラオスやカンボジアにも興味があるが、ビジネスのみならず自分でできるフィランソロピーを自分なりにやろうと思っていてね」
実際に身元引受人をした東大の女性大学院生はそのまま勝田さんの会社に就職、恩返しとばかり日本とベトナムの架け橋たらんと日本の技術移転などのコンサルタントとして大いに活躍している。
私はさまざまな富裕層との付き合いをもっているが、「与えよ、さらば与えられん」を意識して実践しているお金持ちは少なくない。
勝田さんは、なんと足かけ10年で100人もの留学生の世話人をしたのだそう。年に何度かホームパーティに招いて日本文化を啓蒙する、というようなことも進んで実施している。「フィランソロピーのつもりでやっているけれども、彼らが本国に帰ってから要職について事業相談を持ちかけられることが多くてね、『与えよ、さらば与えられん』を地でいってますよ」(勝田さん)。成功者の成功サイクルそのものだ。
温かい人間関係の構築
大資産家の勝田さんが、社会貢献に関心を持ち始めたのは還暦を迎えたころ。「幸せってなんなのだろう」と意識し始めた折に、ハーバード大学の長年の調査結果に触れたのがきっかけだった。「幸せの根源は結局心温まる人付き合い」。誰でも理解できそうな話を定量的に初めて分析した結果だったという。
その調査結果に触れて以降、「結局のところ温かな人間関係を構築していることや真心込めたお付き合いをしていることが、幸せである状態なのだ」との結論に至り、「笑顔でありがとう」を1日何回も言うことを心掛けているそうだ。
日本語にも「笑う門には福来る」という似たような意味合いをもつ普遍的な言葉がある。つまり「本当は誰でもできること」を「ほとんどの人がやっていない」から「誰にもできないくらいやってみる」という、「3億円を持つ73歳の堅実で豪快な金銭感覚」(2016年12月24日配信)でも触れた富裕層独特の感覚がここにある。
数学でいえば難しい関数や微分積分ができなければならない、などというような考え方ではなく、誰でもできるはずの足し算引き算のレベルを極める、ということになるだろう。
勝田さんは言う。「他人のためになることを率先してできるか否か」「相手に与えられるなんらかの能力がなければ、しょせんは人間関係が長続きしない」「温かい人間関係を構築できるか否か、に結局行き着く」
これは資産形成や事業推進でも大きく役立ったそうだ。時にはだまされるようなこともあるのだそうだが、結局は「いつか返ってくると信じて死ぬまで付き合ってみよう」という人との出会いも多くなってくるものだという。そういった人脈からとっておきの情報がもたらされるようだ。
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