「本当のお金持ち」は見返りを早急に求めない 結局は「温かい人間関係の構築」に行き着く

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またモノやサービスの購入に関しても同様のことがいえるようで、「購入したものが何らかのいいきっかけを与えてくれる」と信じている。というよりは、信じないと幸せにはなれない、と信じている、と言ったほうが正しいかもしれない。忘れてはならないことは、このファミリーが日本を代表する資産家でもある、ということだ。このような一般的には「だまされやすい資産家なのでは?」と感じてしまうようなファミリーが、結局はそうなのだ。

一方的な話のみには富裕層は見向きもしない

私の事業に関してもよく助言をいただく。「顧客とパーソナルで親密な関係を構築できるか否か、あるいは、顧客の価値を高める貢献ができるか否か、ここを見過ごしていたらこれからの富裕層ビジネスなど進むはずがない」と勝田さんは言う。

ただ、実行はなかなか難しい。ビジネスである以上、なんらかの形で金銭がかかわってくることになる。それを飛び越えてパーソナルな関係を築くことが結局は事業上の幸せにつながるのだという長期的な戦略においては大いに参考にできる。勝田さんが実行しているような、「無形資産に投資すれば有形資産は後からついてくる」という考え方は多くの経営者が肝に銘じる考え方だろう。

勘違いしてはならないのは、「温かい人付き合いが幸せの源泉」ということだ。つまり、「与えても与えてくれない人」とは「温かい人付き合いができない」ということを意味しており、結局は相手の人間力が最終的には求められる。私の事業に照らし合わせていえば「一方的な話のみには富裕層は見向きもしない」という富裕層ビジネスの現実を如実に示す例といえる。

おカネについても同様のことが言えるだろう。投資してもリターンがない、では話にならない。「そのリターンはいつも経済的なものである必要はなくてね」と本人が言うとおり、手紙を送る、ちょっと立ち寄ってみる、など「本来は誰でもできること」でいいのだ。

「情けは人の為ならず」。人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分に戻ってくる。勝田さんが私にくれたサジェスチョンは本質的にこのことわざと同義だ。劇的な変化が予想される2017年のスタートに思い出しておきたい言葉である。

増渕 達也 ルート・アンド・パートナーズ代表取締役

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ますぶち たつや / Tatsuya Masubuchi

1968年生、1992年東京大学卒業後株式会社電通入社、2002年富裕層向け雑誌セブンシーズを発行する株式会社セブンシーズ・アンド・カンパニー代表取締役に就任。2006年富裕層向けライフスタイルマネジメント会社、株式会社ルート・アンド・パートナーズ代表取締役に就任、現在にいたる(www.rpartners.jp )2013年にはシンガポールにも進出、日本のみならずアジアの富裕層マーケティングに関する造詣が深い。

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