街の駐車場で「鉄道信号技術」が使われている 老舗メーカー、日本信号の知られざる得意技

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1990年代初頭までは、ロック板の横に精算機がある「端末精算システム」だった

登場当初から1990年代初頭までは、ロック板の横にそれぞれ立つ精算機で駐車料金を計算し、見合った料金が投入されたと認識するとロック板が下がるという「端末精算システム」だった。1990年代になると、ロック板にそれぞれペアで立っていた精算機を1台でこなし、駐車場全体をひとつの精算機でまかなう「中央精算システム」が誕生した。

同社製のパークロックが爆発的に普及したきっかけについて「2つある」と芙蓉氏・江原氏は教えてくれた。

「ひとつは『Aフラップばねクラッチ』と呼ばれる特許技術の開発と市場投入。ふたつめはパーク24と協業し、個人ユーザーのニーズをとらえたこと」

専門用語が次々と出てきて、中年記者は冒頭からポカーンな表情。それを見た芙蓉氏・江原氏は笑いながらこう教えてくれた。

「Aフラップばねクラッチの中核部分も、腕木式信号機や線路の分岐器に付いていたエスケープクランプがルーツ。そこに無段階ロックという機構を加えたかたち。たとえば遮断器は、遮断棒が水平(通行止)のときと垂直(通行可)の2種類のときだけロックできた。このAフラップばねクラッチは、どの角度でもロックできる無段階ロックとした」

フラップ式では国内シェアトップ

無段階ロックは、中年記者が乗る車高の低いクルマや、SUVなどの高い車高のクルマにあわせてロック板の角度が付けられるという利点のほかに、2つのメリットがあるという。

「クルマもフラップも同時に守るという技術で、メンテナンスフリーを実現した。また、クルマが不正脱出したときも、フラップを壊すことなく自動的に復旧できるという点もアドバンテージになった」

この“日本信号らしいロック”のおかげで、シェアを拡大。「フラップ式では国内シェア40%でトップ」という。フラップ式の世界では、日本信号のあとをサニカ、アマノ、アイテックといった企業が追従するかたちだ。

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