女も男も「若さ」を価値に置く風潮にモノ申す 楽しそうにしてる人が、結局いちばんモテる
「じゃあ、日本では誰?」となったときにずっと思いつかなかったけれど、野宮さんのその一言を聞いて、自分は何もしていないのに地球滅亡を救った博士みたいな気分になりました。「間に合った!」って。世界に向けて胸を張って、「これが日本の成熟した女です。カッコイイでしょ」と見せられる女性が野宮真貴なんだと確信しましたね。
日本ではポップなまま魅力的に年を重ねることが難しい
スー:別に誰かを責めているわけではないんですが、いにしえの時代から、日本では女性の若さというものは価値の高いものとされているような。
野宮:そんなに昔から?
スー:期間限定ではありますが、若さとつたなさが生むバランスの悪さが魅力的に見えるのは確かです。一方で「若さを失ってもバランスがとれて自分が固まれば魅力的なはずなのに、日本ではなぜそこに価値が置かれないんだろうか?」というもやもやもあった。とはいえ、日本では若さ以外の女性の価値を打ち出す方法がなかなかない。「みっともない」と言われちゃう。年齢を重ねると、かつてポップカルチャーを志向していた人がラグジュアリーの方向に行ったり、いきなり着物を着るようになって京都の日本家屋に住み始めたり。
野宮:いるいる。不思議ですよね。
スー:カラオケで「六本木心中」とか歌っていた人が、ある日を境に「和の心」とか言い出すと、個人的には付いていくのにちょっとつらいものがあります。その点、野宮さんはポップカルチャーのなかで魅力的に歳を重ね続けている希有な例なんです。でも、私を含めてほとんどの人はどうやって年をとっていったらいいのかわからないんじゃないかな。
野宮:いろいろ悩みますよね。
スー:年齢がまずあって、そこに自分をあわせていくんだと思うんですよね。40歳を過ぎたらこういうファッションがいい、50歳を過ぎたらこうしたほうがいいだろう、とか。だから最終的に和になっちゃうのもわかるんだけど。年齢を重ねていくと、「ミニはもうやめよう」とかあるじゃないですか。
野宮:似合わなくなる服もあれば、似合うようになる服もありますよね。私も40代の頃、和にはまりましたよ。若さを失っていくことに対する焦りもあったし、いちばん迷った時代ですね。あのままいったら美魔女になっていたかもしれない(笑)。でも、50歳を過ぎると、年齢を受け入れることができました。男性を意識することがそれほどなくなってくるから、もっと自分のためにおしゃれをしようと思ったんです。年をとると、人の目が気にならなくなって自由になれるので、楽しいですよ。