パナソニック、EV用電池「大バクチ」の勝算 1500億円投資でテスラと"一蓮托生"に

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これまで一部の補修用電池を除き、パナソニックはテスラに独占的に電池を供給してきた。しかしその地位がいつまで続くのかは不透明だ。車載用電池では後塵を拝しているサムスンの猛追が今後始まると予想され、テスラにとってはコスト面や災害時の対応を考えると複数社から調達するメリットは大きい。

マスクCEOはパナソニックをパートナーに選んだ理由について、「信頼関係と技術。電池セルのケミカルの技術はパナソニックが最先端」と話す。しかし、かつて液晶産業で起きたように、海外メーカーが技術面で追いついてきたとき、コスト競争力がなければ生き残るのは難しい。

メイン動力は自動車メーカーが手放さない

たとえ電池セルの性能が横並びになったとしても、より航続距離を延ばせる電池セルの配置方法や制御方法など、モジュール化技術を持っていれば他社との差別化も可能ではある。ただEVは電池セルのモジュール化が肝であり、自動車メーカーはその技術を自前で抱えこむことに執着を見せる。

日系自動車メーカー社員は、「ガソリン車でいうエンジンと同様、メインの動力は自動車メーカーが自前で作るのが一般的。メイン動力をサプライヤー任せにするのはリスク」と言う。

パナソニックの2次電池事業は今期、先行投資や上期の円高影響などで営業赤字に転落する見通し。マスクCEOは、そんな状況はお構いなしに、「世界中にギガファクトリーのような工場を7~10か所作りたい」と豪語している。パナソニックがテスラとのパートナーシップを死守するならば、今後さらに投資は膨らんでいく。資金力で勝る中韓勢との投資競争で勝算はあるのか。パナソニックは難しい判断を迫られている。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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