テレビと芸能界のもはや隠しきれないタブー

松本人志とフジテレビの勇気ある「告発」

思えば昨年は、SMAPの独立・解散、能年玲奈が「のん」に改名、『日本レコード大賞』の買収疑惑、アイドルたちの恋愛ゴシップ、好感度タレントたちの不倫など、視聴者が芸能事務所の対応、テレビ局の報道、両者の関係性に疑問を抱くニュースが多数ありました。『週刊文春』などの雑誌とネットメディアが報じているのに、テレビはスルー。あるいは、大手芸能事務所の意向に沿うような形での報道にとどめ、掘り下げることはなかったのです。

松本さんは、「(大手芸能事務所のスキャンダルに)触れないことで、結局いちばん損するのはタレント。(視聴者は)どんどん離れていって、誰も芸能界を信用してくれなくなる」という不安を隠しませんでした。そんな危機的状況を変えられるかどうかは、当然ながらテレビ局と芸能事務所次第。「これまでのようにスルーしてしまうのか」、それとも「スタンスを変えられるか」、岐路に立たされているのです。

特筆すべきは、2つの番組がともにフジテレビ制作であること。『ワイドナショー』も、『バイキング』も、もともとワイドショーの枠を超えたコメントや議論の見られる番組ですが、それでもこれほど踏み込んだ発言をすることはありませんでした。フジテレビといえば、視聴率の低迷が叫ばれ、何かと批判の対象になりがちですが、実はこのようにデリケートな問題をどの局よりも扱い続けていて、そんな真摯な姿勢はあまり知られていません。

太田光、恵俊彰は今、何を思う

実際、昨年12月24日に放送された「新・週刊フジテレビ批評」(フジテレビ系)で、今回の松本人志さんとほぼ同じ内容の発言を私自身がしていました(余談ですが、隣のスタジオで『ワイドナショー』の収録をしていました。隣り合わせの両スタジオで、テレビ業界や芸能界に関する提言をしていることになります)。

撮影現場では、そのようなコメントを止められるどころか、「テレビ業界をよくするためにどんどん話してください」「フジテレビの批判をしてもらって構わない」というスタンス。ちなみに、私は他局にも出入りしていますが、そのようなスタンスでコメントを求められたことはありません。

「ワイドナショー」の裏番組には「サンデージャポン」(TBS系)、「バイキング」の裏番組には「ひるおび!」(TBS系)や「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)がありますが、松本さんや小倉さんのようなコメントはなし。たとえば、松本人志さんのコメントを聞いたMCの太田光さん、恵俊彰さん、橋本大二郎さんは、何を感じているのでしょうか。もしかしたら、「俺だって同じ気持ちだ」「言いたくても言わせてもらえないんだよ」という心境なのでは、と思ってしまうのです。

現在、フジテレビを視聴率で上回っている各局は、これまでのようにダンマリを決め込むのでしょうか? 現在の視聴者は多くの発信ツールを手に入れて自分の意見を持っているだけに、舵取りを間違えると思わぬ反発を食らいかねません。

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