ZARAから学ぶデジタル時代のブランド哲学 いまこそ迅速化すべき4つのポイント

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ZARAの在庫が次々と入れ替わることの理由のひとつに、製造の60%がヨーロッパにあることがある。そのため商品が店舗に到着するのに長い期間待つ必要がない。

ZARAの製造現場が販売店舗の近くに存在していることについて、アイルワード氏は「大きな要因だ」と同意する。「そのおかげで工場と倉庫、店舗をつなげることがずっと容易になる。ほかの企業も真似をしはじめている」。

J.C.ペニーとギャップは、中央アメリカとカリブ地域に製造拠点のいくつかを移動させた。アジアからこういった地域に製造を移動させることで製造時間の短縮に結びつくのだ。アメリカ国内で衣服の全行程の製造をしてしまうことには問題もついてくるものの、製造業者とのコミュニケーションやプロダクションチェーンの管理という点ではるかに利点がある。

グロッシーのインタビューでアメリカン・ジャイアントのCEOであるベイヤード・ウィンスロップ氏は「品質に関する問題を見つけるのがはるかに容易になった。パートナーがLAにいれば、問題について電話1本で話をすることができる。そうでなければ、コミュニケーションという視点からいうと、失敗がどこにあるのか特定することは、すごく難しくなる」と語った。

ソーシャル上で素早く「勧誘」

ファストファッションに関するL2による専門レポートでは、ZARAが行うオンラインでの戦略がふたつ紹介されている。ひとつはプロダクトページで、売り切れになりそうなサイズやプロダクトに焦点を当てることで、急がないといけない雰囲気を生み出すことだ。アイテムが売り切れた場合でも、在庫情報を閲覧したユーザーがいる場合、通知を受け取ることができる。ZARAはこの情報を使って、どのようなスタイルやトレンドにより投資をすべきか決めることができる。

ZARAのプロダクトのなかで事前に計画されている部分は15%しかない。この「緊急性」を強調するという方法は、ほかのブランドも取り入れはじめている。フェンディはその例だ。フェンディのeコマースサイトでは、一定時間以上ユーザーが滞在した場合、ほかに何人が同じプロダクトを見ているか表示される仕組みになっている。

もうひとつは、ZARAのインスタグラムフィードが、ミニマルなプロダクト写真が並べられた自社サイトと似た雰囲気になっていることだ。各ポストには参照用の番号が割り当てられており、オンラインでの購入を簡単にしている。この手法もリボルブやアンテイラーによって行われており、ソーシャルのユーザーたちが好きなプロダクトを見つけやすくなっている。

「ブランドのなかにはキャプションを絶対視しているものも存在する。もっと賢いキャプションやアクションを引き起こすような文面を入れたいと思っているので、こういった手法をとることはない。しかし、フィードをただ眺めているだけのほとんどのユーザーにとっては、そこまで差別化されるものではない」と、マーケティング分析会社ダッシュ・ハドソンのCEOであるトーマス・ランキン氏はいう。

Hilary Milnes(原文 / 訳:塚本 紺)

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