米国が頭を悩ます、安倍政権の取り扱い方

歴史認識発言が、米中韓にもたらした波紋

米国の情報当局が、内部での情報調査研究に加えて、外部の専門家たちに研究を依頼することはしばしばある。今回は、北東アジア地域の状況が不安定なことから、米国政府高官たちは、経験豊富な政府外の専門家たちの協力を得ることが急務だと考えた。

中国と韓国では新たな政権が発足したばかりで、北朝鮮では若い金正恩氏が権力基盤を固めようとしている。まさにこの時期に、日本では安倍政権が誕生した。政府外の専門家たちは、このような複雑な問題に取り組むうえで、新鮮な見方を提供してくれる。

オバマ政権の主要なアドバイザーのひとりは、大阪市の橋下徹市長の問題発言は日本と世界の多くの人々を仰天させたが、「安倍氏は橋下氏とは違う」と表現している。しかし、安倍氏のこれまでの言動からすると、自らの信念をずっと棚上げし続けるかは不透明だ。実際、7月3日に行われた各党党首の討論会において、安倍氏は従来どおりの見解を示した。20世紀に日本が中国を侵略し、朝鮮半島に植民地支配を確立したと考えているかどうかについて、「判断は歴史家に任せるべき」だと述べた。

米政府関係者は大いに失望

こうした姿勢は、1995年の「村山談話」を全面的に踏襲する、という菅義偉官房長官の声明と矛盾する。「村山談話」では、日本は第2次世界大戦当時の行動について、はっきりと謝罪している。

中韓両国は直ちに反応した。韓国では外交部が声明を発表し、安倍氏のように一国のリーダーたる立場にある人が「歴史を軽視した」横柄な態度をとるのは「残念であり失望する」と述べた。中国では、外務省の報道官が、「日本の軍国主義が引き起こした侵略戦争」については「反駁の余地がないほどの証拠」がある、と述べた。そして最も重要なこととして、この報道官は、安倍氏のこの歴史観が広く行きわたるようになれば、「日本とアジア諸国との関係に明るい未来はない」と語った。

この成り行きは、米国政府関係者を大いに失望させた。彼らは、悪化した日韓政府間の関係を正常に戻し、日中間の緊張を緩和させようと、これまで渾身の努力を重ねてきたからだ。

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