躍進「UQモバイル」に見るKDDIの本気とは? 深キョンが踊るUFOのテレビCMで話題

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そこにはKDDIが低価格を求めるユーザー向けのサービス展開で、他の大手携帯2社より出遅れていることが影響している。

ソフトバンクはワイモバイルブランドで、いち早く低価格サービスを提供して好調を維持している。NTTドコモは多くのMVNOにネットワークを提供しており、昨年にはいくつかのMVNOと、同社のコンテンツサービス「dマーケット」で販売連携を進めるなどして協力関係を築いている。

大手携帯会社があえて低価格サービスに踏み込む理由は、たとえ低価格であっても、自社のネットワークを用いたサービスを利用し続けてもらった方が、何らかの形で収入を得ることができると判断したからであろう。

だがKDDIは、3社の中で低価格サービスの提供に最も消極的だったため、低価格を求めるユーザーの「受け皿」作りが遅れ、ワイモバイルなどへの顧客流出が起きていた。そこでKDDIも方針を転換し、UQモバイルを主軸として低価格サービスに本腰を入れるようになったわけだ。

次の焦点はビッグローブとの連携

UQモバイルへのテコ入れは、低価格ユーザー獲得に向けたKDDIの戦略の序章に過ぎないという見方もある。

それを端的に表しているのが、昨年12月にインターネットサービスプロバイダー(ISP)大手のビッグローブを買収したことだ。この買収は固定回線のユーザー拡大のためという見方が強いものの、ビッグローブはMVNOとしても40万会員を抱える大手でもあることから、KDDIが低価格のモバイルサービスを拡大する狙いも大きいと見ることができる。

今回の買収劇が、今後ほかのISPやMVNOの買収へとつながっていくかはわからない。だが今後、KDDIがUQモバイルとビッグローブをどのように活用し、低価格ユーザーの獲得を進めていくかは、MVNOだけでなく、大手携帯3社同士の競争を見る上でも大きなポイントとなっていきそうだ。

佐野 正弘 モバイルジャーナリスト

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さの まさひろ / Masahiro Sano

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける

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