2017年の日本株は「アンラッキー7」でも買い? 日経平均株価の大きな節目はどこにあるのか
ドル円相場に影響が大きい日米の金利差はどうなるだろうか。2016年の初めには、「米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定は年4回」という見方が大勢を占めていた。しかし、同年前半に原油価格の急落や米景気の鈍化懸念等から、利上げは1回にとどまった。一方、直近で2017年の利上げ見通しは「3回」が有力である。ただ、これは1年前の「利上げ回数」(4回)へ戻ったに過ぎず、為替市場も長期的視点で見ると、モミ合いが続いている。
なお、2016年12月調査の日銀短観では大企業製造業の想定為替レートは1ドル=104.90円。現状、東京株式市場では国内企業の業績上振れ期待を織り込みつつある。一方、現状のレートは長期投資家の売買コストといわれる52週移動平均線の108円台を大きく上振れている。仮にトランプ氏のドル高けん制発言や海外情勢の不透明要因が重なれば、2017年の利上げ見通しも一時的に揺らぐかもしれない。足元のドル円の動きにもブレーキが掛かることも想定される。
酉年の日本株は平均+15%だが、上値余地はあるか
相場格言をあてはめると、2016~17年は「申酉(さるとり)騒ぐ」の年にあたる。確かに2016年の日経平均株価は2月と6月に年初来-21%超までの急落したのち、年末には年初来+0.4%に転じるなど波乱に富む展開になった。
2017年はどうか。戦後の酉年の日経平均の騰落率は平均で約15%。こうした格言をもとにしたアノマリー(法則や理論などでは説明ができない事象)と期待がもてる。一方、指標面でみると、このところ東証1部の時価総額は450兆円台~600兆円弱、予想株価収益率(PER)は13倍~16倍の往来が続いてきた。足元の日経平均株価に当てはめると、15%上昇なら、2017年は2万2000円前後の上値も期待できることになる。ただ、時価総額は600兆円超、予想PERは16倍を上回っており、上値を追うには企業収益見通しの一段の改善が必要だ。
またテクニカル面からみると、日経平均は2万0200円前後に節目がある。これは①高値警戒感が台頭する52週線+20%水準、②ダブルボトムから想定される目標値(2月と6月の安値1万4952円と4月につけた高値1万7572円の価格差2620円の「倍返し」5240円)等に相当する。この2万0200円前後の価格帯を抜けるだけの勢いがあるかどうか。2017年の上値余地には慎重な見方も必要だろう。
2014~2016年の大発会は3年連続で下落した。足元2ヵ月のトランプラリーによって、日経平均株価は3200円超も急速に値を戻した。これは「クリスマスラリー」と「踏み上げ相場(売り方の買い戻し)」が重なったとの見方もある。年初は日柄調整をともなう踊り場形成になる可能性もある。2017年の日本株は見てきたように良い材料と悪い材料が混在する。押し目を待っている投資家には、落ち着いて日本株の下値を拾うタイミングが必ずありそうだ。
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