スズキ、新型「スイフト」で初売り合戦に挑む 実は軽だけじゃない!登録車が絶好調

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第2に、スズキの悲願である「国内登録車10万台以上」の達成だ。スズキは軽自動車大手としてダイハツ工業と競ってきたが、2015年4月の軽自動車税引き上げを機に軽の販売は厳しい状況が続いている。

打開策のひとつとして、スズキは小型車の品ぞろえ充実に注力し、新車を次々に投入した。ここ最近の販売に大きく寄与しているのが、2015年8月に発売した小型ワゴン「ソリオ」だ。当初の想定を上回る月販4000台ペースを維持している。2016年11月にはスズキ初となるEV(電気自動車)走行もできる本格的なハイブリッド(HV)車もソリオに追加した。

ソリオだけでなく、コンパクトSUV「イグニス」も投入したほか、海外生産の逆輸入車としてハンガリー生産の「エスクード」とインド生産の「バレーノ」も日本市場に新規投入するなど、矢継ぎ早だ。

暦年では悲願の「年間10万台」を達成

鈴木俊宏社長は「2017年も最高記録にチャレンジしたい」と話した

こうした効果で、2016年暦年のスズキの国内登録車販売は12月22日に初めて10万台を突破した。前年比では30%以上の伸びだ。大手各社が1ケタ台の伸び率か減少する中、スズキの好調さが際立っている。

ただ中期計画で掲げている目標は年度での達成であり、残り3カ月の勝負では新型スイフトが重要な武器となる。国内営業を担当する鈴木敏明常務役員は、「年度でも10万台を達成したい。デザインと高い走行性能、マイルドハイブリッドを訴求して、初売りを成功させたい」と意気込む。

ただ小型車市場は競争が激しいのも事実。軽中心のダイハツ工業も小型車を拡大している。トヨタの人気車種「パッソ」(ダイハツは「ブーン」)はダイハツが企画から設計、生産まで手掛けたものだ。さらにダイハツはソリオに真っ向勝負する「トール」を11月に発売。11月の新車販売ベスト30に入ったトヨタの「タンク」と「ルーミー」も、ダイハツ・トールのOEM(相手先ブランドによる生産)車種だ。

鈴木俊宏社長は「2016年は新車投入効果が大きかった。10万台をさらに超えていくには営業力、サービス力、商品力をすべて充実させていくことが原動力となる。2017年も最高記録にチャレンジしたい」と話す。スイフトの初売りはどうなるか。今後のスズキを占う試金石となりそうだ。

(撮影:梅谷秀司)

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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