東京の空室率は3割、「不人気アパート」の盲点 「埋まる物件」との差はどこにあるのか
東京・東久留米市に3月に竣工した「ツクルメ」も、最寄りの花小金井駅などから徒歩約30分、賃料も相場より1万円ほど高い物件にもかかわらず、人気の高い物件だ。
物件は雑木林に向かい合う土地に建てられており、ウッドデッキや畑、アウトドア用キッチンやバーベキューサイトなどがそろっている。完成前にワークショップを行うなどして告知を行ったところ、募集開始から1カ月ほどで満室になった。各戸の玄関が畑に面しており、明確な仕切りがないため、畑を共同作業で行うこともある。入居者間が集まっては飲んだり、バーベキューや流しそうめんをしたりという交流も生まれている。
コミュニティ重視の賃貸物件も
同物件のオーナーである秋田茂良氏は、江戸時代にこの地に入植した農家の12代目。290年におよぶ歴史ある土地を、未来に継承できる活用法を考えるのに、賃貸向けリノベーションを手掛けるエイムズの手を借りながら3年を費やした。相続をにらんで慌てて建てた物件とは、企画段階から違うのである。
コミュニティを生み出すことで注目を集めている物件もある。国土交通省が住生活基本計画の見直しで、賃貸住宅の分野で参考にすべきと取り上げた「コミュニティ賃貸」の事例のひとつが、足立区にある「パルコカーサ」だ。
2015年2月に誕生した同物件も、最寄りの無人駅東武伊勢崎線・大師線大師前駅から徒歩8分と立地は芳しくなく、賃料も相場より数千~1万円ほどは高い。また、入居時に町会参加を求められるなど、隣人とかかわりたくない人には高いハードルがあるにもかかわらず、満室を維持している。メディアにもよく取り上げられているので、聞いたことがある人もいるだろう。
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