【産業天気図・精密機器】円高進行で08年度「曇り」に変更。北米の事務機器事業など苦戦の見込み
08年4~9月 | 08年10月~09年3月 |
2007年度前半まで雲一つない快晴が続いていた精密業界。しかし、海外輸出比率の高いこの業界では、円高の進行とともに雲行きが怪しくなってきた。08年度は各社いっせいに前期比減益ないし横ばいの計画を発表しており、今年度前半、後半ともに曇りとなりそうだ。
精密各社の今期の為替想定レートは1ドル100円、1ユーロ155~160円という設定が大勢を占めている。ニコン<7731>、オリンパス<7733>は1ドル100円、1ユーロ155円、リコー<7752>は1ドル100円、1ユーロ160円、セイコーエプソン<6724>は保守的な想定で1ドル95円、1ユーロ155円の設定だ。
12月期決算のキヤノン<7751>は期初1ドル107円、1ユーロ157円の設定でスタートしたが、年明けからのさらなる円高で想定が崩れ、第2四半期(08年4~6月)から1ドル100円、1ユーロ157円に変更。対ドル1円円高で年間営業利益99億円もの減益インパクトとなる同社では、第1四半期(08年1~3月期)為替が想定以上に円高で推移したことにより、08年12月期通期の業績予想を売上高で1500億円、営業利益で300億円下方修正した。
為替のほか、事業面で減速が目につくのが事務機器だ。北米を中心に、景気後退を背景とした顧客の設備投資抑制が進み、各社とも苦戦を強いられている。キヤノンは第1四半期、米州の複写機売上高が前年同期比で2割減の大幅減収となり、リコーも前第4四半期(08年1~3月期)米州が赤字となり、今09年3月期もこの地域が足を引っ張るとみられる。国内およびアジアを管轄とする、富士ゼロックス(富士フイルムホールディングス<4901>傘下)は米国の景気後退や為替の影響が少なく、推進中の構造改革の費用百数十億円をこなしつつ、前期比15%増の営業利益1000億円も狙えそうだ。
デジタルカメラについては、一眼レフカメラ、交換レンズ中心に好調が続くトレンドに変化はない。カメラ映像機器工業会(CIPA)の統計では、08年1~4月累計の出荷金額は、コンパクト型が前年同月比17.9%増、一眼レフが同28%と相変わらず右肩上がりの成長を続けている。ただ、安価なコンパクトカメラのほか、一眼レフの入門機でも競争激化による価格下落が顕著となってきており、こうしたボリュームゾーンでは中長期的に採算が悪化していく可能性もある。そのため、一眼レフ2強の一角を占めるニコンなどは採算の良い中高級機中心に展開する戦略をとる予定だ。
【桑原 幸作記者】
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