真珠湾慰霊訪問にみる安倍外交のしたたかさ 「戦後にケジメ」で政権のレガシー狙う

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ハワイに旅立つ12月26日は4年前に第2次安倍政権が誕生した日でもある。再登板後の4年間、内政では「アベノミクス」、外交では「地球儀俯瞰外交」を政権運営の柱としてきた首相だが、「なかなか結果の出ないアベノミクスより、安倍外交の成果が高い内閣支持率に結びついてきた」(側近)ことは間違いない。だからこそ、国会日程などよりも外交日程を優先して世界を駆け巡ってきたのだ。首相が年末に設定した日ロ首脳会談と真珠湾慰霊訪問は「安倍外交の仕上げともいえる歴史的な首脳外交」(同)となるわけだ。

「ノーベル平和賞」も夢見るが…

自ら「戦後政治の総決算」と位置づけたこの2つの首脳外交で大きな成果を上げれば、「"安倍1強"と呼ばれる現在の政権構造はさらに強化される」(自民幹部)ことになり、永田町では「外交の成果を掲げての年明け解散」説も再浮上している。加えて、日ロ首脳会談で北方領土返還と日ロ平和条約締結交渉への道筋をつけ、真珠湾慰霊訪問で日米同盟をさらに強化できれば、首相のいう「戦後にケジメをつけた」ことにもなり、故佐藤栄作元首相に続くノーベル平和賞受賞も「夢ではない」(側近)との見方が広がる。

まさに、首相にとって「"我が世の春"の師走」(自民首脳)ともみえるが、肝心の日ロ首脳会談は双方の事前交渉でのせめぎ合いが激しく、首相自身も「そう簡単ではない」と交渉の厳しさに顔をしかめる。日米同盟の前途も「トランプ大統領」という特異な政権の出方次第では対立拡大の可能性も少なくない。一見華やかな年末首脳外交だが、首相にとっては「政権の命運をかけた正念場」であることも否定できない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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