泣くな小泉進次郞!農業改革の分厚い岩盤

農業村の抵抗に挑む青年代議士の闘い<前編>

その中で進次郎の質問は異彩を放っていた。

「私は農林部会長になって、農協の皆さんと向き合う中で、今でもわからない、根本的な疑問があります。それは農協(JA)の皆さんは(中略)協同組合だからこそ、独占禁止法から適用を除外されている。だったら、なぜ農協より、ホームセンターの方が安いものがあるのか。北海道の陸別町農協という、餌を安く提供する農協の組合長と会った。なぜほかの農協の組合員は、その安いところから買えないのか。農業の世界では当たり前かもしれないが、私にはその当たり前が理解できない。1円でも安く必要なものを、どこからも自由に買うことができ、経営感覚をもち、自由な経営が展開できる。まさにそれこそやらないといけない構造改革だと思いますが、総理から答弁をお願いします」

これに対して安倍首相は次のように応じた。

「小泉委員が指摘した所が、極めて重要な点なんだろうと思います。農家の皆さんは、飼料や肥料を1円でも安く仕入れ、農産物を1円でも高く買ってもらう。そのための努力を共同組織であるJA全農(全国農業協同組合連合会)には行ってもらいたい。その気持ちが強い。この思い、時代の要請に応えて、全農も新たな組織に生まれ変わるつもりで、がんばっていただきたいと思います」

進次郎は生産資材が高いという問題を、その原因を作っている農協改革へ展開させたのである。

利益を共有する産政官学の共同体

既得権益の維持に懸命な農協。東京・大手町の一等地にJAビルはある(写真:共同)

従来はこのような質問自体がタブーだった。農家所得を上げると言いながら、資材価格の高さを正面切って指摘する政治家はいなかった。筆者が数年前、肥料や農薬、農業機械、飼料すべての農業資材が米国の倍もしているという指摘をするまで、資材価格が海外と比べてどの程度高いのかを調べた研究者は、ほとんどいなかった。農協の利益を損なうからだ。資材価格を高くすると、農協は高い販売手数料を稼ぐことができる。

農業政策は、ともに共通の利益を共有する、農林水産省、農協、農林族議員、農学研究者という、運命共同体によって作られてきた。これを”農業村”と呼んでよい。農協は選挙で農林族議員を当選させ、農林族議員は農水省の予算獲得を後押しし、農水省は高い米価や補助金という利益を農協に与え、農協から高い講演料を受け取る農学者(主に農業経済学者)は農業村に都合のよい主張を研究者という中立を装った立場で行ってきた。農業資材価格の水準だけではなく、コメの生産を減少させる減反がなければ米価はどのような水準になるのか、という研究をした人はいなかった。農業村に都合の悪い研究はタブーだったのだ。

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