──さらに制度の実施者である一部の産業医の質も不十分だと。
嘱託産業医のうち精神神経専門医は1.8%にすぎない。最近読んだ厚労省の産業医制度のあり方に関する検討会の資料に、「産業医がやりたくないと尻込みしている」という報告が載ってました。今の時代、メンタルの問題を扱わないで産業医といえるのか。メンタル対策で体の病気も減ることが実証されているので、ストレスチェック制度を皮切りに心身を改善する方向に産業医はもちろん、事業者も労働者も関与している皆が取り組んでほしい。そこをいちばん強調したい。よかれと思う取り組みを、アクションを必ず起こしましょうと。
──しかし中にはブラック企業ならぬ、“ブラック産業医”というのもいるそうで。
体調不良で休憩が延びた社員の賃下げを提言した、度重なる査問を苦に自殺未遂した社員の査問継続を許可し自殺を遂行させた嘱託産業医など、聞くとビックリなのがいますよ。また、産業医選任が義務なのにもかかわらずしていない会社も多い。こういう事態に対し労基署はけっこう動いてます。労働者と労基署が同じ方向で頑張るようになってきてるな、とこの数年は思いますね。
ブラック企業は経営も悪化します。過労自殺のあった職場はよほど真摯に経営を見直さないと傾く。事実、僕が労災関連自殺の鑑定書等で関与した後、粉飾や横領、不祥事の見つかった事例が複数あった。ブラックでなくとも、メンタル不全休業者比率高は2年程度のタイムラグで利益率を悪化させる可能性が、国の委託研究データで実証されました。
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