「ハイブリッド型」腕時計が急成長できる理由 フォッシルは試金石となれるか
買収前のMisfit CEOで、現在はフォッシルグループのウエアラブルデバイス部門責任者でCTOも兼任するサニー・ヴー氏は「ひとことでスマートウォッチといっても、ディスプレー搭載の製品もあれば従来的な指針式の製品もある。それぞれに得手不得手がある。多様なウエアラブル製品が世の中にあり、その中にはApple Watchのようなディスプレー型ウォッチもあれば、伝統的なクォーツ時計が持つ機能や性能を強化するためにスマートフォンを接続して活用するという選択肢もある」としたうえで「ハイブリッド型とディスプレー型、それぞれのスマートウォッチは競合しない別の商品だ」と話した。
フォッシルが開発したハイブリッド型スマートウォッチ向けモジュールには、アナログ指針式クォーツウォッチの機能に加えて、従来のMisfit製活動量計が備えていた機能をすべて内蔵する。そのうえで、スマートフォンがインターネットから取得する手法を用いた正確な自動時刻修正、特定の人物を登録しておきメールやショートメッセージの受信を通知する、スマートフォンのリモート操作、バイブレータアラームといった機能を提供する。
もちろん、Misfit SHINE2などで提供されている活動量計や睡眠状態追跡、睡眠状態を検知してのバイブレータアラームなどの機能も内包されている。では一般的な時計とMisfit SHINE2など活動量計の組み合わせと同じなのかと言えば、時刻自動修正や腕時計の指針を用いての通知機能などはハイブリッドならではの特徴だ。
スマホを最大限に活用した“拡張型腕時計”
試用して実感したのは、スマートフォンと接続できる腕時計という意味で、いずれもが“スマートウォッチ”だが、商品としての軸足や使い心地はまるで異なることだ。ディスプレー型スマートウォッチが、腕時計のサイズに縮小されたパーソナルコンピュータであるのに対して、ハイブリッド型スマートウォッチは既成の枠組みから踏み出さない範囲で、スマートフォンを最大限に活用した“拡張型腕時計”を目指していることだ。
フォッシルはディスプレー型スマートウォッチも販売しており、決してそうした路線を否定しているわけではない。しかし、ヴー氏は「将来、完全に透明化された高精細なディスプレーが登場すればディスプレー型とハイブリッド型の両方の特徴を備えるスマートウォッチも登場するかもしれない。しかし当面の間、まったく別ジャンルの製品として成長するだろう」と話す。
実際、試用した男性用のSKAGEN Hagen、女性用のFossil Qを見れば、外観だけでスマートウォッチと判断できない製品だとわかる。いずれもさまざまなファッションブランドと提携して普及価格帯の腕時計を多数開発、出荷しているメーカーらしいデザインと仕上げだ。ケース径は40ミリ、厚みは12ミリと大きめ。モジュールは現在のところ1種類しかないため、レディースも同じサイズとなる。
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