なぜ日本ではラグビーが盛り上がらないのか

代表は善戦しているが、何かが欠けている

それほどファンの多い五郎丸選手。ところが、W杯後の国際試合(テストマッチ)では一度もプレーしていない。

6月のスコットランド戦では2試合ともケガのため出場を回避。11月5日に秩父宮で行われたアルゼンチン戦では、今秋に新加入した仏プロリーグ・RCトゥーロンでの出場を優先するとして欠場。代表ジャージを着た五郎丸選手による「あのポーズ」を生で見たい”にわかファン”たちを大いに失望させた。

なぜアルゼンチンに大敗したのか

世界のラグビー界では、毎年11月の週末を使って「オータム・インターナショナル」と呼ばれる各国代表によるテストマッチを主に欧州で行う(W杯開催年はスケジュールが重なるため中止)。

慣例では、欧州の各国代表をホームチーム、それ以外の代表をアウェーチームとして試合が組まれる。その日程に準じたかたちで日本代表も欧州遠征を実施、後述のウェールズ戦など3試合を現地で戦っている。

五郎丸選手が出場しなかったアルゼンチン戦もたしかにスケジュール的には「オータム・インターナショナル」の一環に見えるが、欧州遠征の対戦相手や日程が決まった後に追加された経緯がある。1週間前までトップリーグ(日本における社会人ラグビーのリーグ)を戦っていた選手たちによる急造チームという誹りはまぬがれず、結果は20対54と日本代表が大敗.久々の本拠地・秩父宮での熱戦を楽しみにしていたサポーターたちをがっかりさせた。

ジョーンズ前ヘッドコーチは在任中「代表によるテストマッチの日程や選手セレクションなどのマネージメントを留意するよう」と何度も繰り返していたとされるが、その訴えはどこへやら、強引に日程を詰めて試合を行った結果、ファンの失望感をさらに深めてしまった。

加えて、チケットの高額な価格設定も大きな問題となった。最も高価な席が2万円、屋根のないバックセンターが1万円、その周辺に設定された7000円の席のエリアには大きな空きも見られた。この価格は「家族で観に行こう」という水準ではなく、欧州の有名なオーケストラやオペラの日本公演のチケット代を想起させるレベルではないか。

あまりにも高すぎる。W杯での日本代表の戦いぶりにインスピレーションを受け、一度は生で見てみよう、と思った「新たなラグビーファン」の出足が鈍ったことは容易に想像できる。

ファンたちと写真に収まるアマナキ・レレィ・マフィ選手。ウェールズ戦ではゲームMVPとなった(写真©Nobuhiko OTOMO)

日本代表はこの秋の欧州遠征で、ジョージア、ウェールズ、フィジー代表とそれぞれ1試合ずつを戦う。11月12日のジョージア戦では逆転勝ち、同19日にはウェールズと戦ったが最後の数秒で突き放され惜敗した。

興味深いのはどちらの試合もほぼ満席状態で実施されたこと。特にウェールズ戦はカーディフのプリンシパリティ・スタジアムでは「南アを破ったジャパンがW杯以来、英国に初登場」となったことも手伝い、7万4000人近い大観衆を集めた。

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