「トランプ相場」は「米国株の終わりの始まり」 「強気一辺倒」アナリストが冷静に強気になる

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現在、日本が国会通過を急いだことは、「日本は、いつも米国の顔色を見てばかりいる」と日本政治の独立性に疑問を持っていた市場関係者に、好印象を与えている。一部に批判はあるようだが、安倍首相がすかさずトランプ氏との会談に持ち込んだ外交手腕に、世界は「主要先進国で最も安定している安倍政権」を見て取ったのではないか。

トランプ次期大統領の政策は、「減税、規制緩和で投資を促進し、公共投資拡大で強いアメリカを目指す」ものだから、1980年代のレーガン大統領時代の「レーガノミクス」そのものだと考える。景気拡大で、長期金利上昇・ドル高でもダウが史上最高値を更新したのは、こうなると当たり前のことかもしれない。

それにしても、筆者は日本株の反発は「トランプ期待から生じる円安の恩恵によるものだけではない」と見る。日本の相場は、年初から混乱した。だが、その混乱の中で、実際には起きていない多くのリスク(中国経済崩壊、ブレグジット後のEU空中分解、ドイツ銀行の破たん、原油価格暴落でオイルマネーの株式市場からの撤退、米国のリセッション突入等)を織り込み終わった、ということではないだろうか。

「米国株の終わり」が始まったと言える理由

では、筆者は超楽観か、と言われれば、実はそうではない。確かに「米国株の天井説」は雲散霧消した。だが、実は相場の循環から言うと、このトランプ相場は「米国株の終わりの始まり」なのだ。

相場は、流動性相場から景気回復相場に移り、それが過熱することによって天井を打つ。米国株は2008年のリーマンショック後の過剰流動性供給で8年もの長きにわたり上昇して来たが、実体経済は富の一極集中を高めただけで、一般国民にとっては失われた8年だった。

それでも株高はマクロ経済を支え、かろうじて景気回復相場に突入していた。筆者が米国株天井の形が整っていないとしつこく言い続けてきたのは、どう考えても過熱感が見当たらないからだった。しかし、トランプ登場でその条件が整ったと言える。ターニングポイントは、やはり米10年国債利回りが今年最高となったことだ(債券価格は下落)。

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