白熱教室:灘高はリスニングをこう教えている 日本の英語教育を変えるキーパーソン  木村達哉(下)

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長文読解に過去問は不要

センター試験でも過去問信者のような先生がいっぱいいませんか? 模試の過去問信者、いますよね。過去問をやらせれば点数が伸びると信じていて、そればっかり生徒に解かせるんです。センター試験の過去問やって120点だったら、もう数年分やらせるとかね。でも大事なのは、どうして120点だったのかを分析したうえで、ダメなところ取り払ってやることです。でないと点数は絶対伸びません。

僕はセンター試験の点数を上げるためにやっているのではないですけれど、長いのを何回聞かせても、質がある程度伴わないとダメだろうと思ったんです。つまり、「長い間聞くというのは、こういうメカニズムなんだ」というのを体感させることが大事なのです。そこで僕は、リスニングのテキストではなく、リーディングのテキストを使いました。これがリスニング中心のリーディングの授業と言っているものです。

今からみなさんと一緒にリーディングの授業をやります。これは灘では高校2年生の2学期からやります。リーディングの授業なのですが、リスニングが中心になります。みなさんのお手元にはスクリプトがありますが、生徒たちは予習厳禁になっていますので、テキストは学校に置いてあるという子も結構います。復習は大事ですけどね。

教材は2年前にマーク・ピーターセン先生と一緒に作った『キムタツ式英語長文速読特訓ゼミ』の基礎レベル編を使っています。これはCDが普通の速度と早い速度の2種類が収録されているので、効果的に使い分けることができます。

まずは1度、最初から最後までCDを通しで聞いてもらいます。

※ 音声は以下をクリック

 

 

 

 <スクリプト>
(1)
People sometime ask, “Are you a ‘dog person’ or a ‘cat person’?” “Dog people” prefer to keep dogs as pets. Some of them hate cats. “Cat people” prefer to keep cats as pets. And some of them hate dogs, too. People ask the question because they think the answer is important. They think that “dog people” and “cat people” have very different personalities. And they think that the answer to the question will give them information about someone’s personality. Maybe they are right. After all, dogs and cats are very different kinds of companions.
(2)
First of all, dogs are happy to be with people all the time. They are always eager to play with their owners. Also, they show their love in a very open way. And dogs will protect their owners, too. They might even risk their own lives to save the lives of human beings. In contrast to this, cats are quite independent. They often prefer to spend their time alone. And as long as they have enough food, they don’t need people very much. For these reasons, cats are much easier to keep than dogs are. Also, many people think cats are mysterious and beautiful to watch.
(3)
“Dog people” and “cat people” also appear to be very different in their social natures. “Dog people” tend to be more active. They like to go out and do things with other people. And they like to help other people, too. Also, “dog people” tend to get along well with all types of people. “Cat people” are not like that. They tend to prefer a more quiet life. And they choose their friends more carefully. They notice small details about others, and they think those details are important. Actually, it often may not be necessary to ask the question “Are you a ‘dog person’ or a ‘cat person’?” If you know a person a little, you can probably guess the answer fairly easily.

 

昔の僕と一緒で「実はリスニング、ぶっちゃけあまり強くないんだよね」という先生の場合、聞いている途中で集中が切れてしまったという人もいるでしょう。以前は僕もそうでした。それは全然、恥ずかしいことではないです。トレーニングすればいいだけですから。教員はできるふりなんかしないでいいと思 うんです。教員だからこそ、今できないということを認めて、自分で勉強するのが大切なのです。

次の手順としては、音読の練習と一緒で、以下のようになります。単語リストを配って、一緒に音読→英語を言うと訳、訳を言うと日本語がクイックに出てくるように、音読をしながら覚える→口頭でテスト→ペアになって問題の出しっこする。

われわれが学生の頃は「単語をちゃんと調べてきなさい」「訳してきなさい」と、宿題といえば調べものばかりでした。あとは、「ノートに書け」でしたね。でも、いちばん大事なのは覚えることだと思うので、僕は授業中に覚える作業も盛り込んでいます。でも、「これ覚えろ〜! 覚えたかぁ〜?」とやっていると面白さがないので、生徒同士でチェックし合うとか、いろんなアクティビティを入れるようにしています。

知らない単語がなくなったら、もう一度CDを聞いてもらいます。この時点でほぼ聞けるという子はすばらしい。こんな生徒ばかりだったらいいのですが、そううまくはいきません。ですので、スクリプトと一緒に段落の要約や重要な内容について4択で問う問題なんかを用意しておきます。

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