市場規模9兆円!知られざるネット通販の実態 アマゾン、ヤフー、楽天…裏側はどうなっているのか?
しかし、成長度合いは大きいものの、日本の消費全体に占めるEC化率は、わずか3%程度にすぎない。比較的進んでいる米国(5~6%台)と比べても、日本の水準はまだ低い。この背景には、①買い物の楽しさ、エンターテイメント性はリアル環境が勝る、②ネット環境における決済や情報漏えいへの不安――などがあるとされる。ただし、①、②とも改善の余地は十分にある。今後たとえば、バーチャル空間でのリアル疑似環境や、スマートペイメント(キャッシュレス化)といったICT(情報通信技術)のイノベーションが進めば、消費者心理のハードルを徐々に押し下げていく可能性は考えられるからだ。
市場拡大の鍵を握るのはモバイル
また、スマホやタブレット端末などモバイル機器の普及、地下鉄や地下街でのインターネット利用環境の促進も、ネット通販の市場拡大には大きなサポート要素になっている。野村総合研究所によると、ECにおけるパソコン利用は頭打ちで、今後の市場拡大はモバイル経由が主役という。さらに物品購入だけではなく、サービス業でもEC化の進展は大きく進みそうだ。「レストランや美容室など、これまでポストペイが当たり前だったサービス業でも、予約だけではなくメニュー選びまでEC化が拡大すれば、プリペイド化は促進される」(田中大輔・野村総研上級コンサルタント)と見ている。
こういった環境変化と相まって、ネットとリアルの商圏は融合し始めた。ネット陣営からはポイント提携によるリアル市場の顧客取り込みが加速している。象徴的な動きが、7月1日からのヤフーポイントのTポイントへの統合だ。この統合によって、ヤフーの16サービス(ヤフー!ショッピング、ヤフオク!など)で貯めたポイントは、TSUTAYA、ファミリーマートなど100社、全国5万7000以上の提携店舗で使えるようになる。楽天もリアルの提携店舗で楽天スーパーポイントが活用できる「Rポイントカード」を近く発行予定だ。一方、リアル陣営からはネットスーパーをはじめ、多様な業種においてネット通販への参入が起こっているほか、O2O(オンライン・ツー・オフライン)戦略によるネット世界からの顧客誘導も進んでいる。
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