グルメサイト「4強時代」、生き残るのはどこか 「食べログ対Retty」仁義なき戦いの行き先

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だが、これらを実現することは、実際には容易ではない。特に「わかりやすい仕組み」 はさじ加減が難しい。本来、食事の好みは人によって千差万別だ。だから飲食店を評価するにあたっては、味の他にもボリュームや価格(コストパフォーマンス)、雰囲気、サービスとさまざまな判断軸が必要になる。現に米ザガットサーベイでは、料理・内装・サービスという3つの観点で店舗を評価している。

しかし、それをあえて無視してシンプルな5段階評価に統一したことが、結果として食べログの成功につながった。食べログのコンセプトは「失敗しないお店選び」。多くのユーザーは、正確さよりもわかりやすさを優先する。美味しい店を見つけることよりも、外さないことを優先する。その前提に立てば、評価方法はシンプルであるほど使い勝手が良い。

その点はRettyも同じだ。同サイトは「自分の好みに合うお店」を選びたいというニーズに強くフォーカスしているが、それでも「このユーザーのおすすめだから大丈夫」というように、お店を選択する際の意思決定をシンプルにしてくれる点では変わりがない。やはり「わかりやすい」のだ。

向こう3年程度は4強時代が続く

しかし近年はユーザー、店舗向けの両方で各社のサービスが急速に類似化し、他社との違いを打ち出すことが難しくなりつつある。

たとえば口コミ情報は多かれ少なかれほとんどのグルメサイトに掲載されているし、キュレーション機能や特定レビュアー(有名人を含む)のフォロー機能、オンライン予約機能も珍しくなくなった。店舗に対する営業支援情報や予約管理システムの提供も当然のサービスになりつつある。

グルメサイトは今後どうなるのだろうか。

まず向こう3年程度について、大手4社が競い合う構図は変わらないと予想する。営業ネットワーク、知名度、膨大なデータの蓄積など、先行各社に大きなアドバンテージが存在するからだ。食べログやRettyが登場した時のようにコンセプトのレベルで他との違いをアピールできない限り、競争環境を大きく変えることは難しいだろう。

各社間で引き続き機能の類似化が進み、ますます「4社のいずれかで十分」な状況が続く。結果として複数のサイトを使い分けるユーザーは一部にとどまり、大半のユーザーは自分が慣れ親しんだサイトだけを何となく使い続ける。

次ページレビュアーの争奪戦が始まる
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