歌舞伎町のシンボルが消える コマ劇場が半世紀の歴史に幕
新宿歌舞伎町の「演歌の殿堂」が52年の歴史に幕を閉じる。コマ・スタジアムは、今年12月31日に新宿コマ劇場を閉鎖すると発表した。1956年の開場以来、榎本健一や美空ひばりなど昭和の大スターが舞台を踏み、歌舞伎町のシンボルとして知られたコマ劇場だが、近年は客層の高齢化や演歌離れで2期連続の営業赤字に転落。満員御礼は北島三郎や氷川きよしなど一部の大物歌手の興行に限られ、採算割れに苦しんできた。
閉鎖を決定した大株主の東宝は、コマ劇場に隣接する「新宿東宝会館」も今年末に閉鎖し、5385平方メートルの跡地で再開発事業に着手する予定。コマ劇場周辺には映画館が多数あり、どれも老朽化が進んでいる。東宝は再開発の内容について「歌舞伎町地区全体で検討中」としており、数年前から東京都や地権者と会合を設けて、具体策を検討してきた。
仮に再開発が実現すれば、一大商業施設に生まれ変わる可能性もある。しかし、「地権者の中には外国人オーナーも含まれる」(関係者)という事情もあり、交渉は長引いているもようだ。
新宿3丁目はシネマ・コンプレックス(複合映画施設)が開業し、副都心線の開通も相まって新しい人の流れが誕生しつつある。コマ劇場閉鎖後の歌舞伎町がどう生まれ変わるのか。再開発の行方に注目が集まりそうだ。
(前田佳子 =週刊東洋経済)
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