新規上場の老舗製紙会社に思わぬ事態

配当金4135万円を取締役が自腹で埋める

阿波製紙が6月11日夜に発表したリリース。一見、通常の配当関連のお知らせに見えるタイトルだが…

昨年10月23日に東証2部に新規上場したばかりの阿波製紙で、2012年9月中間決算の配当金4135万円をめぐり、思わぬ事態が発生していた。

監査プロセスを経ずに配当していたことに気づく

9月中間決算そのものは、阿波製紙が上場した直後の昨年11月8日に、グループ会社などを含めた「連結決算」としては短信の形で公表され、監査法人の四半期レビューも受けていた。

日本企業はすでに連結決算中心の決算発表に移行してから久しく、連結決算を行っている企業が、決算短信に単独決算まで載せるケースは珍しい。阿波製紙の決算短信に掲載されていたのも連結ベースのみだ。配当実施に必要な「単独決算」については、臨時計算書類を作成して監査法人の監査報告書を入手する、という承認プロセスが必要だった。

にもかかわらず、同社はこの必要なプロセスを経ずに、1株当たり5円、総額約4135万円の中間配当を、上場前である昨年9月末時点の株主115名に分配してしまったのだ。

そのことに最初に気づいたのは、阿波製紙の前2013年3月期の有価証券報告書(株主総会翌日の6月27日提出予定)を作成する作業に取り組んでいた監査法人のトーマツだった。トーマツからその事実が阿波製紙に連絡されたのは、6月3日になってからのことだった。

ところが、どう会計処理すべきか、という方針決定は間に合わず、週明け月曜日の6月10日には2013年3月期の財務諸表を掲載した株主総会(6月26日開催)招集通知が発送されてしまった。

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