ドル安円高の局面は、終了したのか ディーラー歴20年の達人が読む為替

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当面はモミ合い相場へ移行か

さて、当面の展開を予想してみよう。

今回の株高、ドル円相場の、ドルの上昇は、4月4日の日銀の異次元緩和が引き金になっている。緩和前の日経平均の高値は3月21日の1万2650円で、7日はこの水準を一時下回ったが、結局はサポートされた。ドル円は3月12日の高値96円70銭を下回り、95円割れまで下落したが、7日の終値では97円台、10日は98円台を回復した。

95円は心理的な節目であるとともに、120日移動平均線(営業日ベースで約半年)が位置している。半年ということはここを下回ってしまうと今回の株高、円安が始まった昨年11月後半以降の平均値を下回ってしまうことになる。これはやはり重要なポイントだった、といえそうだ。4月4日緩和前の安値92円50銭付近までの下落のリスクもあっただろう。もし、株のポジションの調整、為替のポジションの調整がある程度はついているとすれば、ある程度は大きな反発があるだろう。筆者はそのように思っているのだが、日経平均でいえば、1万4000円台前半付近、ドル円は100円付近までのドルの反発はすぐに起こるだろうとみている。

10、11日は日銀政策決定会合が行われるが、今回は、黒田日銀総裁の記者会見も含めて、長期金利を落ち着かせるようなコメントや円安、株高をサポートするような発言が出てくるかどうかに注意が必要だろう。ただこれだけドル円、クロス円も株式も大きく下落したために、調整がすぐに終了するとは思われず、しばらくはモミ合いの相場が続くのではないかとみている。今回の円高で、ドルが底を付けて、前回のドル円の高値103円70銭付近、日経平均の高値1万5942円60銭をすぐに目指す相場には、ならないだろう。やはりこの下落相場が落ち着きを取り戻すには、ある程度の期間が必要だ。

前提条件としては、先述の1ドル95円、1万2500円付近がサポートされることだが、これを抜けてしまうと、4月の日銀政策決定会合前の安値92円50銭、日経平均1万1800円付近の下落リスクはまだ存在している。1ドル95円~100円、日経平均1万2500~1万4000円のレンジをこなしながら、さらなる円安、株高になるのか、当面は時間の調整になると思われる。

田代 岳 国際金融コンサルタント、元為替ディーラー

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たしろ がく / Gaku Tashiro

たしろ がく 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会 社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深 い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替 に関する情報を発信しており、人気を博している。

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