円暴落とハイパーインフレで、日本は復活する 伝説のトレーダー、藤巻健史氏が語る「本物の円安論」(下)

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財政は破綻するが円安で市場原理効き、日本は再生へ

残念ながら、安倍首相の経済政策は早晩行き詰まるでしょう。手法を間違えていること以上に、時期が遅すぎたのが致命的です。1000兆円超という現在の政府の累積赤字は、あまりに大きすぎます。ここまで借金が膨らんでしまったら、財政はもうもちません。残念ながら、タイムオーバーです。

家計にたとえれば、年収が460万円なのに銀行から借りまくって900万円も使うような生活をしているのですから。事ここに至っては、微調整の円安誘導によるマイルドなインフレは難しいでしょう。円の暴落とハイパーインフレを伴う過激なハードランディングしかありません。

ここで注意しなくてはいけないことは、「私は財政が破綻する」と言っているのであって、日本が破綻するわけではないのです。第2次世界大戦で「大日本帝国」はなくなりましたが、「日本」は力強く生き延びたのと同じです。

そして、その破綻がどんなに過激であっても、それはいわゆる「創造的破壊」であり、最終的には市場原理が機能して日本は再生すると、私は確信しています。効果のない量的緩和をだらだらと続けて、いたずらに傷口を広げるくらいなら、いっそ早く破裂したほうがいい。破綻の後、円が大幅に弱まれば、日本は一気に救われます。ハイパーインフレが不可避なら、むしろそれを前向きにとらえ、円安をV字回復の足掛かりとすべきなのです。

創造的破壊を早め、その後に続く日本再生をも早めたリーダーとして、安倍首相は歴史に名を残すかもしれません。皮肉ではなく、私は本当にそう思っているのです。*なお、藤巻 健史氏は6月10日「日本維新の会」より、7月の参議院選挙公認候補として発表されました。

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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