女性政治家が浴びてきた「蔑視発言」の中身 ヒドイのはトランプだけではない
「本当に嫌な女だ」。
米共和党の大統領候補ドナルド・トランプが、そうつぶやいたのは、第3回テレビ討論会の終盤でのこと。もちろんその矛先は、民主党の大統領候補のヒラリー・クリントンだ。
例のごとく、特定の争点について、まとまった主張をしている時に出てきた言葉ではない。トランプにとって、特に「嫌な」トピックである社会保障について、クリントンが発言しているとき、衝動的に茶々を入れた一言だった。
その言葉は、フェミニストたちを激怒させ、ネット上にはたちまち批判的なミームがあふれた。だが、男性政治家がパワーのある女性に嫌味を言うのは、トランプが初めてではない(トランプほど露骨で下品ではないかもしれないが)。
1980年代、フランスのフランソワ・ミッテラン大統領は、英国のマーガレット・サッチャー首相について、「彼女はマリリン・モンローの唇と、カリギュラ(ローマ帝国の暴君)の目をしている」と評した。
バーバラ・ブッシュも夫の政敵を侮辱
もちろん野次や皮肉は政治に付きものだ。それに男性から女性に向けられるものとは限らない。トランプ自身、この選挙期間中に、相当な皮肉を浴びてきた。マーク・カーク上院議員は最近、「DJT(トランプのこと)はひなびたピエロだ」とツイートしている。
野次や皮肉は男性政治家の特権ではない。1933年にカルビン・クーリッジ大統領が死去したとき、女流作家のドロシー・パーカーは、「もう死んでたみたいなものじゃない」と語った。
ジョージ・W・Hブッシュ大統領の妻バーバラ・ブッシュも、女性相手にきつい嫌味を放ったことがある。まだブッシュがロナルド・レーガン大統領の副大統領だった1984年のこと。民主党の女性副大統領候補ジェラルディン・フェラーロについて、「言えないけど、(フェラーロは)リッチと韻をふむ言葉と似ている」と発言。「魔女(ウィッチ)」を示唆したとして、謝罪に追い込まれた。