アップルペイに埋め込まれた3つの日本仕様

こんなに便利に使えるのは日本しかない

Appleが日本向けに用意したApple Payは、3つの特別なことがある。ひとつ目について、ジェニファー・べイリー氏は次のように紹介する。

「Apple Payは日本でのサービス開始当初から、4000を超える駅や3万台を超えるバス、セブン-イレブンやすき家、イオン、日本交通のタクシーなど、数十万箇所で利用できます。アプリでは、TOHOシネマズやギフティなどが対応します。オンラインショッピングの5割がモバイルからの利用、という日本において、セキュリティ面でも大きなメリットが得られるでしょう」

筆者は2014年から、米国でApple Payを利用してきたが、最大の問題点は、利用可能な店舗がなかなか広がっていかない点だ。店舗数は増えているが、カリフォルニア州サンフランシスコ周辺での生活において、その実感は非常に薄い。

米国人の多くがスキミング被害に遭っていることを考えれば、確かにプライバシーやセキュリティが高まる点は魅力だ。しかし利用できる店舗数の少なさは、現段階において、Apple Payにとって非常に大きなハードルとなっている。しかし日本において、そのハードルは、「FeliCa」搭載によって無効化することができたのだ。

「日本向けのiPhone 7・iPhone 7 Plus、Apple Watch Series 2には、特別にFeliCaを搭載しました。そのため、クレジットカードを登録すると、日本国内で普及している既存の“コンタクトレス・ネットワーク”であるiDかQUICPayを介して、店頭でのカード決済ができるようになります」(ベイリー氏)

iDかQUICPayに対応したタクシーで使える

iDとQUICPayは、コンビニや流通系、タクシーなどに普及している、FeliCaを利用した非接触クレジット決済方式だ。どちらを使えるかはクレジットカード発行会社により、Apple Payにカードを登録するとロゴが表示される。店頭でカード決済を行う際にはiDかQUICPayを告げて、iPhoneをかざし、指紋認証を行う。

ユーザーは、自分がどちらの電子マネーに対応したカードかを覚えておく必要があるが、そのロゴを見つければ、Apple Payでの決済が利用できると判断できる。

Suica対応は「特急」仕様だった

FeliCa搭載で実現した2つ目の特別な対応は、Suicaのサポートだ。これにはApple Pay側の拡張も伴っていた。同日から配信されたSuicaアプリで新規登録するか、既存のSuicaカードを転送させる形で、iPhoneやApple WatchにSuicaを設定することができる。

モバイル端末でのSuicaは、おサイフケータイやAndroidスマートフォンでも実現してきたが、iPhoneでのSuicaは、年会費が不要となり、より身近に利用できるようになっている。

「JR東日本との綿密な協力と深い連係によって、SuicaをiPhoneとApple Watchで実現しました。新しいカードを直接アプリから購入し、すぐに使うことができます。また券売機に並ぶことなく、足りない残高をチャージすることもできます。全国4500の駅と、3万台の路線バスで、すぐに利用し始めることができます」(ベイリー氏)

Suicaは、改札を1秒で通過できるスピードを実現するよう設計されている。これは海外から見れば、完全に「未来の出来事」としてとらえられているが、すでに15年前から実現してきたサービスだ。

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