東京五輪、建物はほとんど「プレハブ化」せよ 建設費も問題だが、ヤバイのはムダな維持費
水泳会場一つとってもこのざまで、カヌーやボートの会場「海の森水上競技場」が69億円から491億円になっているなど、もうあきれてものも言えない。
民間なら「逆算方式」で計算するのが当たり前
これだけ日本全国で、無駄かつ維持費で地方財政が疲弊している建物が乱立しているのに、いまだにこういう話が出てくること自体が不思議だが、こうなれば取れる手段は一つだけ。各競技団体に、この維持管理費とどうやってペイさせるのか、具体的なプランを出させたらよろしい。
もちろん「絵に描いた餅」ではだめで、もし結果的に赤字になったら競技団体全体でその赤字を負担する(1人何千万になろうがそんなものは関係ない)という取り決めをすることだ。「そんな巨額な金額は負担できない」、というのであれば、では、いったいいくらなら維持費を稼ぐことができて、それに見合う建物はいくらまでが限界か、と逆算するしかない。
この水泳会場の例でいうと、当初の683億円はなんとか負担するとしても、維持費の1200億円を水泳会場の運営・営業で負担するなぞ、できるはずがない数字だ。おそらく、毎週桑田佳祐さんやAKB48が水泳パフォーマンスコンサートなんぞをやっても、この経費は絶対に出ない。大赤字になる。
ということは、「水泳という競技で集められる集客数」をはかり、その入場料、各種グッズ売り上げ、出てくるショップからのショバ代などを合計した収支、「予測PL」がなければならない。こんなことは民間事業であれば当然であって、そこを無視しているから、こういう壮大な経費の無駄遣いがなくならない。われわれが岩手・紫波町の施設「オガール」で成功している(代表的な記事はこちら)のは、まさにこの「逆算方式」を追求したからだ。
建物も含め欧州風の雰囲気がある、などと褒めてくれるメディアもあるが、われわれからすると、正直、当初約50億円を想定した建物からすれば相当に切り詰めて「しょぼい建物」になったのは事実だ。
しかし、「当初の目的」(公民が連携し、図書館など公の集客力も利用しながら、人が集まる、独自性のある楽しい複合施設にする)には、100%合致している。開業から3年たったが、今も、「オガールは建物がしょぼいから行きたくない」、と言われたことは一切なく、年間90万人以上の人に訪れて頂いている。
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