追い詰められる、福島・双葉町123人の避難民 全国でただ1つ残る埼玉の避難所が閉鎖の危機
いまだに多くの人が避難所生活を続けざるをえない理由として、県外避難者の生活再建の道が厳しく閉ざされていることがある。最長で20年の居住が保障され、新たな生活の基盤となる災害復興住宅(公営住宅)を県外に建設することについて、今も5万人以上が県外で避難生活を送っているにもかかわらず「何も決まっていない」(福島県生活拠点課の國分守主幹)。
5月21日に騎西高校の体育館で開催された町長と住民との懇談会で、住民から埼玉県内に災害復興住宅を建てて欲しいという要望書が約300人の署名とともに提出された。しかし伊澤町長は「中身をきちんと見て判断したい」と答えるにとどめた。県も「双葉町の考えも聞きながら、国や受け入れ自治体とも話をしていきたい」(前出の國分主幹)というものの、県が掲げる帰還政策と相矛盾することから、ハードルは高い。
安心して暮らせる場所もない
双葉町は「プライバシーや衛生面など生活環境に問題がある」として、遠くない将来に避難所自体を閉鎖したい考えだ。その際、「介護や生活上の支援が必要な人とそうでない人の間で退去の時期にタイムラグが生じることは仕方がない」(伊澤町長)としている。
だが、元気な住民が先に退去を迫られた場合、彼らに支えられていた高齢者の介護や身の回りの支援も困難になる恐れがある。介護サービスで加須市の協力を得られたとしても、順番待ちが続く特別養護老人ホームやグループホームに入居できる保障もない。
双葉町が懇談会で住民に示した「復興まちづくり計画(第1次)案」では「町民一人ひとりの生活再建の実現」を目指すとしている。
ここで言う「生活再建」とは、「町民の皆さんが、それぞれの希望する場所で、住居を確保し、仕事や生きがいなどの生活の糧を見つけて、日常の生活を取り戻すこと」と明記されている。しかし、避難所の住民はそれぞれの希望する場所に住むことすらできないのが実情だ。その窮状を知っていながら、国や福島県は何の手だても講じていない。
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