外国人投資家がついに日本株を買い始めた? 「7兆円売り越し」が一転7679億円の買い越し

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今年になってから、9月までに外国人投資家が売った日本株の金額は約7兆円(6兆9112億円)だ。日銀が1年間で買い入れを実施すると表明している上場投資信託(ETF)の6兆円を超える金額を売っていたわけである。原油価格の低迷に伴い、中東を中心とするオイルマネーが売りを進めたとの観測だが、それだけの売り越しを実施した投資主体が買い越しに転じたとなれば、日本株には大きな追い風となろう。良くも悪くも、日本株を上げるには外国人投資家の買いが必須であると筆者は考える。

乱暴な言い方にはなるが、日本株を引き上げたいのであれば、外国人投資家が関心を示すような政策を打ち出せばいい。それは、政府による成長戦略、規制緩和の水準だ。

ポジション調整だけの可能性も否定できず

もちろん、たった1週間、大幅に買い越しただけでは「外国人投資家が日本株買いに転じた」とは言えない。中長期的な意味合いを考慮すると、少なくても月間ベースで見ていく必要性がある。

仮に臨時国会での「働き方改革」を材料視した買いであれば、「配偶者控除の小幅な見直しに留まる」と報じられた7日以降、外国人投資家による買いは途絶える可能性がある。また一部では、「下期相場入りに伴い、売りに傾いた日本株のポジションを調整しただけ」との指摘も聞かれる。外国人投資家による買いが続く相場展開となれば、日経平均のボックス相場は終わるかもしれないが、今の段階では「その兆し」が見られただけに留めておきたい。

なお、ここで気をつけていただきたいのは、日本株の上昇が景気回復に与える影響が小さいということだ。株高による浮揚効果はあるが、その恩恵を直接的に受ける国民は少ない。

東京証券取引所が、6月20日に公表した「2015年度株式分布状況調査」では、株主数合計は5080万人で、個人株主数は4944万人とある。前年との増加幅は調査開始以来最高となった。株式分割や投資単位引き下げ実施や、小額投資非課税制度(NISA)などが増加幅拡大のきっかけとなったようだ。

ただ、この人数は「延べ人数」である。東証は「ある個人株主が1人で10銘柄を保有している場合、結果として個人株主数10名としてカウントしている」と述べている。複数銘柄を保有している投資家が多いことから、実際に株式投資をしている投資家数は1000万人ほどか。投資信託や、変額年金保険で株式運用を選択している投資家(投資信託は日本証券業協会が2012年(平成24年)にまとめたデータでは約800万人(外国債券投信なども含む)を含めても2000万人には届かないだろう。「誰のための株高政策なのか」は、安倍政権において、問われ続ける重要なポイントと考える。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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