イギリスを襲う「物価大幅上昇」の恐怖 2017年末までに4%近くになる?
[ロンドン 13日 ロイター] - ポンド急落で英国の物価が今後大幅に上昇するのは避けられない。一部の有力銀行のエコノミストからは来年末までに上昇率が4%近くになるとの予想も出ている。
8月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は0.6%。ロイター調査によると、今年の終わりまでに1%を超え、来年の平均は2.3%とイングランド銀行(英中央銀行、BOE)が目標とする2%を上回る見込みだ。
HSBCのエコノミストチームは、13日時点で1.22ドルだったポンド/ドルは今後さらに下落し、これによってCPI前年比上昇率は来年末までに3.7%前後に跳ね上がるとみている。
キャピタル・エコノミクスのサミュエル・トゥーム氏は、ポンド/ドルが恐らく1.10ドルまで下がり、2018年のCPIの平均は4%になりかねないと指摘した。
今後英国の消費者は、国民投票における欧州連合(EU)離脱派勝利に端を発したポンド安がもたらす物価上昇圧力にどこまで耐えられるかが試されることになる。
英スーパーマーケット最大手テスコ<TSCO.L>は、ポンド急落を受けた仕入れ価格をめぐる対立で英蘭系日用品大手ユニリーバ<ULVR.L>の一部製品のネット販売を一時中止する動きがあった。
また英ガソリン小売業協会によると、国内ガソリン価格はポンドの急反発がない限り今月末までに1リットル当たり0.04─0.05ポンド上がるとみている。
フォード<F.N>やゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>のボクソールなどは既にポンド安を受けて値上げに動いた。
英中銀は当面静観か
BOEは、2011年にCPIが5%まで上振れする事態を許したように、今回も物価高を容認する意向を示唆している。英経済は来年著しく減速すると予想される中で、利上げで物価上昇を抑えれば成長への打撃は必至だとBOEが承知しているためだ。
こうしたBOEの姿勢が変わるのは、ポンド/ドルが一段と値下がりして1ドルちょうどに向かうような場合だけだろう。
JPモルガンのエコノミスト、アラン・モンクス氏は「利上げが真剣に議論されるにはポンド/ドルが1.10ドルの水準を続ける必要があるとわれわれは考えている」と話した。
(Andy Bruce記者)
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