世界で進む農薬メガ再編、日系はどう戦う?

国内最大手、住友化学の事業トップに聞く

――住友化学の農薬事業の売上高は約2000億円。国内勢では断トツだが、再編でより巨人化する海外メジャーとの差はますます広がる。どう戦っていくか。

世界で勝ち残るために一番重要になるのが開発力だ。ニーズのある独自の商品を継続的に投入できるかどうか。当社は現在、2020年までに登録を目指す新商品として、殺虫剤など4種類の開発を進めている。いずれも独自性が高く、商品化できれば業績への大きな貢献が期待できる。

また、こうした次世代を担う新商品の開発と並行して、海外の販売体制強化に取り組んでいる。すでに農薬事業の売上高の7割以上は海外だが、今はその半分以上を北米地域が占めている。今後は北米以外でも販売をもっと伸ばしていく。

そのための施策として、今年6月、インドの現地農薬会社、エクセルクロップケア社の買収を決めた。インドは農薬の成長マーケット。エクセル社は年商200億円弱で、インドで5位のシェアを有している。その販売チャネルを最大限に有効活用して、水稲用殺虫剤など当社製品の販売も伸ばしていく。

メジャーと組めるところは組む

――海外メジャーは種子と農薬を兼業している。

自社で開発した種子とそれに適した農薬をセットで売って、付加価値を取り込もうというのが海外メジャーの基本戦略。農薬メインのバイエルがGMOに強いモンサントを買ったのも、そうした戦略を考えてのことだろう。ただし、大豆やトウモロコシといった作物の種子まで手掛けるとなると巨額の研究開発費を要する。海外メジャーだからこそ可能なビジネスモデルで、資金力の限られる日本企業が同じ戦略をとるのは難しい。

――住友化学は農薬事業の拡大に向け、モンサントを始めとする同業との提携戦略も掲げている。

住友化学の除草剤フルミオキサジン。大豆畑で広く使用される

農薬の業界はライバル同士の提携が珍しくない。何にでも効くような万能の農薬は存在しないため、補完関係にある他社製品をセットで農家に提案するケースもあるからだ。当社で言うと、世界メジャーの大半とこうした提携関係を結んでいる。

中でもモンサントの除草剤グリフォセート(商品名は「ラウンドアップ」)と当社の除草剤フルミオキサジンは補完性が高い。グリフォセートをまいた畑で出てきた雑草にはフルミオキサジンが非常に有効で、モンサントが推奨してくれているおかげで当社製品も世界で売れている。

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