「嫌われ者同士」の選挙戦に映る米国社会の今 なぜ両陣営の支持率は拮抗しているのか

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でも、世界情勢に大きな影響を与え、日本の社会、自分たちの仕事や暮らしにも関係が深い米国の国家元首が決められるわけですから、もっとよく米国大統領選挙について知りたい。そんな思いがあって、気にはなっているのだけれど、まとまった情報をどうやって手に入れたらよいのかと思っている方たちも多いのではないかと思います。

「これまでの政治家による政治はもうご免だという支持者たちの思いです。とにかく自分たちのことを考えてくれるリーダーが欲しい」(増田ユリヤ氏)

「政治のベテランというのは、大統領選挙では意外に弱い傾向があります」(池上彰氏)

予備選挙が盛り上がったのはなぜなのか

今回の民主党と共和党の大統領候補を決める予備選挙は、たいへん盛り上がり、本選挙が始まった今より報道が盛んだったように思いませんか?それは、泡沫候補と見られていたトランプ氏が、本命と思われていた候補者たちをどんどん追い落として共和党の候補になり、民主党も「民主社会主義者」を自称したバーニー・サンダース氏(74歳)が、最後の最後までクリントン氏と候補を争ったからでした。

その背景には、これまでのベテラン政治家を拒否する有権者たちの意識があるのです。では、その既存の政治家とは、どんな人たちを指し、どんな選挙運動によって、トランプ氏やサンダース氏は支持を得て大躍進したのでしょうか。

米国での支持率の調査結果は、クリントン氏が45.9%、トランプ氏が42.9%。大統領を選ぶ際に最終的に投票する選挙人の数は、クリントン氏が225人、トランプ氏が154人と予測されており、クリントン氏が優位な状況にいます(政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各種世論調査の9月12日時点の集計)。

この数字を見ていると、支持率に関しては接戦です。でも、数字上は接戦にもかかわらず、討論会前後は大きく報じられる選挙戦についての報道が、予備選挙のときと比べて継続的に盛り上がっているような感じがしないのはなぜでしょうか。

近年の米国政治が、「大統領と議会の間のねじれが原因で何も進まないという状況が続いてきた」(池上氏)ことに対して、国民は「トランプとサンダースに共通するのは、ぶれないということ」(増田氏)、そこに惹かれたのです。既存の政治家ではない候補者がきっと今の状況を変えてくれるのではないか。その有権者たちの期待が、両候補者の予備選挙の躍進につながったわけです。

しかし本選挙に入り、今度は次に挙げるキーワードがどんどんと影響力を増してきています。

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