すごい「手書きアプリ」はここまで進化した 殴り書きも読み取って、確実にテキスト化

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・Note Alwaysの画面。赤い部分が「選択されたところ」。右手のペンで書き、左手で触って「選んで」編集、という操作ができる。

書いたメモのうち、移動したり色を変えたりしたい部分、要は選択したい部分を、左手の指でなぞってみてもらいたい。すると、そこが「選択状態」になる。選択状態になった線は赤く明るいハイライト表示になるため、あとは好きな場所へ移動させたり、色を変えたり、コピー&ペーストしたりと、自由自在だ。

また、書いている最中に間違った時は、指を三本出して、画面上をこする。これは右手でも左手でもいい。すると、「ペン1ストローク分」がアンドゥされ、間違いが消える。

右手で書きながら左手で「アンドゥ」し、選択や移動もできるとなると、紙のメモとは完全に感覚が違ってきて面白い。しかも、ちょっと説明されれば誰にでも使えるのがスゴイ。

Note AlwaysはiPad ProとApple Pencilに特化した操作性になっていて、右手と左手の使い分けも、「書きながら消しゴムをかける」感覚だと思えばわかりやすい。描線の美しさも、この種のアプリではトップクラスだ。

市場としての競争の結果

ペン搭載機器は増えたが、残念ながら「ペンを使う便利なアプリ」はまだ増えていない。特に、ニーズが明確なグラフィック以外は、選択肢が多くない。ここでは、iPad Proが圧倒的に有利だ。これはハードの性能によるものではない。PCに比べ、iPad上の方が「有料の道具的なアプリを売る」市場として優位にあるからだ。

これからPCもそうなって、アプリ間での競争が起きることを期待したい。少なくとも、iPadからNote AlwaysとMyScript Neboが出てきているのは、そうした「市場としての競争」の結果だと感じる。ハードウエアについては、コストや多様性も含め、Windows PCは決して悪い状態ではない。むしろ、ペンがあたりまえになる方向にある。

だからこそ、その活用のためにも、アプリがどんどん出て、「ああ、こんなに便利なのか」と皆が理解するようになって欲しいのだ。マイクロソフトがWindows 10のAnniversary Update(8月の大幅アップデート)でペン機能を強化したのは、そうした背景がある。

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西田 宗千佳 フリージャーナリスト

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にしだ むねちか / Munechika Nishida

得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、『アエラ』『週刊朝日』『週刊現代』『週刊東洋経済』『プレジデント』朝日新聞デジタル、AV WatchASCIIi.jpなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。著書に『ソニーとアップル』(朝日新聞出版)、『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社)、『スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場』(アスキー新書)、『形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組 』『電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ』『iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』(すべてエンターブレイン)、『リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ』(TAC出版)、『知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?』(共著、徳間書店)、『災害時 ケータイ&ネット活用BOOK 「つながらない!」とき、どうするか?』(共著、朝日新聞出版)などがある。

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