ベゾスの右腕を務める32歳デザイナーの正体

「ワシントン・ポスト」を支えるキーパーソン

マーバーガー氏の柔軟さはサイトの大改修でも大いに発揮された。「ワシントン・ポスト」は2015年、大規模なデザイン変更をやめ、代わりにWebサイトを継続的にアップデートしていくことに決めた。サイトの読み込み時間短縮をベゾス氏は大きく優先した。サイトのスピードが極めて重要なのは、読み込みが速くなればサイトに滞在する人が増え、広告表示や購読勧誘の機会が増えるからだ。サイトから無駄を取り除き本当に必要なものだけにするには、維持する必要があるものと失って構わないものを把握することが必要であり、加えて、それをニュース編集サイドに説得できることが重要だ。ギルバート氏は、マーバーガー氏を「まるでセラピストだ」と語る。

「以前はサイトに関連リンクが山のようにあった。それを手放させるのは簡単ではなかった。しかし、彼はニュース編集室で信頼されていることで彼らを説得できた」とギルバート氏は語る。結局、「ワシントン・ポスト」は読み込み時間が85%短くなった。

プロダクトディレクターに至る道

インディアナ州ペルー出身のマーバーガー氏は大学生の頃はジャーナリズムに進みたいと思っていた。夕食時にはしばしばニュースや政治についての話題が食卓であがる家庭で育ったマーバーガー氏は、パデュー大学で大学新聞「エクスポーネント」に参加してジャーナリズムにかぶれたのだ。それでいて、彼はコンピューターサイエンスの授業も受けていた。最初の就職先はガネット傘下の地方紙「インディアナポリス・スター」だった。上司はマーバーガー氏に、Webサイトの編集と、Web記事のための新しいテンプレートの開発に協力するよう求めた。こうしてマーバーガー氏は、ジャーナリズムとテクノロジーというふたつの関心事がキャリアで結びつくことを知った。

同氏は、「自分が勉強してきた異なる分野がジャーナリズムを発展させ、かつ新しいことをできるのだと受け止めた。自分はそれを期待されているのだと思い、製品を改善することでジャーナリズムをより良いものにしていこうと考えた」と述べている。

これは、iPadアプリ以前の時代の話である。マーバーガー氏は「インディアナポリス・スター」の最初のアプリ開発に尽力し、それが親会社に注目された。ガネットはマーバーガー氏を自社のアプリ開発の統括者に起用。そして、そこでの働きを見て、「ワシントン・ポスト」が連絡をしてきた。

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