32歳弁護士、最愛の恋人を捨てた薄情の代償

東京カレンダー「新・婚活事情」<9>

彼女の存在が、どんどん息苦しくなった。それに、男特有の、ズルい気持ちも芽生えました。

日本一とも言える大手弁護士事務所に所属し、その中でも有望と言われている僕が、普通のOLと結婚するなんて、もったいないんじゃないか。

周りは、育ちの良いお嬢様秘書や、同じようなエリート弁護士、モデル系の美女といったレベルの女性と結婚をしていて、派手な結婚式に何度も呼ばれました。

もっと上がいるんじゃないか?

その度に、彼女と他人の奥さんを比べてしまうんです。ハイレベルな女性はいくらでもいるのに、安易に彼女に決めてしまっていいのか。もっと上がいるんじゃないか。

結果、僕は浮気しました。一回でなく、何度も。でも彼女は、よそよそしくなった僕に対して、やっぱり何も言わずに、いつもの優しい笑顔を浮かべてた。浮気帰りの僕に、「お疲れさま」と、笑顔で夜食を用意し、スーツを綺麗に整えてクローゼットにしまうんです。

そんな彼女に罪悪感を持っては、自分が悪いのに、彼女に八つ当たりしたいような苛立ちを覚えていました。僕は自分で自分の首を絞めるように、さらに息苦しくなっていったんです。

あの頃の僕は、最低だった。そして、留学を控えた僕からのプロポーズを、彼女が待っているのは明らかだった。結局、僕は限界を迎えて言ったんです。

「ごめん、結婚が考えられない。別れよう」

彼女は、「どうして?」と氷結したような表情で何回も聞いたけど、僕が「ごめん」としか答えずにいると、感情的になることもなく、すんなりと引き下がりました。

それから、彼女とは一切連絡を取っていません。自分で振ったくせに、僕はかなり彼女を引きずっています。今でも胸が痛むし、やっぱり彼女と結婚した方が良かったんじゃないかと激しく後悔したり、どうしも彼女に会いたくなってしまう時がある。

仕事に疲れ果てて深夜に帰宅すると、彼女がよく作ってくれた、うどんやお茶漬けの味を、嫌でも思い出してしまう。思った以上に、ツラい。本当にツラい。

1人で留学なんて正直行きたくないし、今から彼女に泣きついて、やっぱり一緒になってもらうよう頼もうかと考えたりもします。でも、耐えてます。人はそんな僕を、「プライドが高い」「意地っ張り」なんて言いますが、事実そうかも知れない。

だけど、中途半端に彼女を追わないことが、最低の僕に果たせる、最後の義理だと思っています。彼女には、僕なんか忘れて次に進んで、早く幸せになって欲しい。心から、そう思うから。

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