日本株が「波乱の10月」に上昇する条件とは? 9月26日の大統領選TV討論会には要注意
一方で、FOMC(米連邦公開市場委員会)も「予想通りの利上げなし」だったため、ドル安円高トレンドは続き、為替は1ドル100円に迫ったままだ。同時に発表されたFOMC参加者の経済・金利見通し(ドットチャート)で、年内の利上げ回数が1回に、さらに長期金利水準が前回の3.00%から2.875%になり、これを受けてアメリカ株は続伸、ナスダックは連続して史上最高値を更新した。だが、円高トレンドは変わっておらず、日本株は上値を押さえられている。
中小型株に恩恵、日米の政治イベント織り込む相場に
筆者が「金融政策一歩前進」の理由としてもう一つ挙げたいのがETF(上場投資信託)買い入れ方式の見直しだ。ETF年間買い入れ額のうち3兆円については、従来どおり3指数に連動するETFを時価総額比例で買い入れする。だが、2.7兆円はTOPIX連動型を対象にするというものだ。
今まで日の当たらなかった東証1部の中小型株にとっては相対的に有利な展開になるのではないか。おりしもノーベル賞の秋を迎え、東証マザーズのバイオ関連株も、復活の兆しがある。中小型個別材料株の動きと共に、個人投資家の動きも活発になるだろう。今週はマザーズ市場への上場ラッシュ(一気に5社)もある。
さて、日米の金融イベントは終わったが、これからは日米の政治イベントを織り込む番だ。アメリカは当然11月8日の大統領選に向って緊張が高まって行く。まずは、このあとすぐの9月26日に行われる、第一回目のテレビ討論会だ。
民主党のクリントン候補が健康問題を払しょくできるか。共和党のトランプ候補が失言なく論戦に勝てるか。トレーダー達は、発注キーボードに手を置いたまま注目することだろう。後先になったが、同日、日本も第192回臨時国会が始まり、アメリカの大統領選を挟んで11月30日までの論戦が繰り広げられる。ボールは日銀から政府へすでに投げられている。「進化させた成長戦略」を打ち出すことを筆者は期待する。
先週末は100円台スレスレの為替におびえながらの展開だったが、前日急騰の利益確定売りを考えると、実は比較的強い週末だったのではないか。しかし、今週は為替だけではなく、再び波乱含みになって来た原油価格にも注意を払わなければならない。
商社はすでに原油で儲けることを諦め、脱原油に社運を賭ける戦略に移っている。原油価格上昇はシェール増産につながり、構造的に価格上昇に限度が見えるからだ。先高観がなければ当然生産者は今の値段で売ろうとする。原油だけでなくオイルマネーにも同じことが言える。1バレル40ドル台では資産売却はないと言われて、「オイルマネー売り」の文字がメディアから消えているが、筆者にはオイルマネーが日本株をこっそり売っているような気がしてならない。
今週の日経平均予想レンジは1万6300円―1万7000円。3月末本決算企業の中間配当の権利取りの動きがあるので、大きく売り込まれることはないと考える。
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