年間数百万円!米大学の学費を下げる「妙案」 戦闘機1機の節約が大きな違いを生む
米国の大学の無料化は、全志願制の米軍にとって脅威になるのか? ベンジャミン・ルクセンバーグ氏がミリタリーブログ「破綻した戦争(War on the Rocks)」 でこんな問いかけをした。だが、これは同氏個人の疑問というにとどまらず、現在と将来の国民に深く関わる問題なのだ。
他のほとんどの先進国とは違い、米国での大学進学負担は非常に重い。ドイツやスウェーデンの大学は完全に無償で、韓国最高峰のソウル大学の学費は英オックスフォード大学とほぼ同額の年間約1万2000ドルだが、ハーバード大では授業料や寄宿舎の家賃と食費などで年間6万3000ドルがかかり、学位1つを取るのに25万ドルが必要だ。ほどほどの公立大学でも、授業料と寄宿舎の家賃と食費で、年間2万2000ドルがかかる。
今のところ、米国で高等教育を受けられるのは、親が裕福だったり、莫大な借金を抱えることになるような、ひと握りの人々だけなのだ。
入隊者の75%は教育面の恩恵が目的
現行の新復員兵援護法では、復員して進学した場合、授業料を対象に最大で年間2万ドルの補助が受けられる。ハーバード大の場合、支給額は(寄宿舎費用なども対象になって)月2800ドルとなる。「黄色いリボン」プログラムに参加している大学に行けば、補助はさらに追加される。陸軍士官学校に進んだり、卒業後の入隊を前提とする大学の予備役将校訓練課程(ROTC)を選択すれば、学費の全額ないしは大部分が補助される。
入隊するか将校になろうとした者の約75%は、その目的が教育面の恩恵だったとしている。その流れでルクセンバーグ氏は、民主党大統領候補、ヒラリー・クリントン氏が大学の授業料値下げを提案していることが、全志願制である米軍への脅威になるのでは、と問いかけたのだ。大学に安く行けるようになれば、こうした人々が依然として入隊を望むだろうか、というわけだ。