ドーナツ屋が警官にコーヒーを配る深い理由 「つい、したくなる仕掛け」はこうつくる

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スーパーマーケットの店長の立場になってみると、データから水炊きをする人が増えてきていることがわかれば、「水炊きの具材をたくさん入荷して水炊きセットを売ろう」という意思決定の手助けになります。

「誰も損しない」が仕掛けのミソ

しかし、実際に売るのはそう簡単ではありません。

お客様の家の冷蔵庫の中に入っている食材もあるでしょうし、家族の要望を聞いて作るものをすでに決めている人も多いでしょう。

その一方で、店舗内で目についたものを参考に献立を考える人も多いことがわかっています。このような、あらかじめ買うものを決めていなかった人の購買行動を「非計画購買」といいます。

そのような人を対象とした売り方を考えるのもマーケティングの対象です。

従来のマーケティングのアプローチには、値引き、クーポンといった価格に訴求するアプローチや、POP広告、大量陳列、実演販売といった視認性や認知を高めるアプローチなどがあります。

たとえば、水炊きセットをお買い得な値段に設定するのは前者のアプローチになりますし、水炊きセットを目立つところに陳列して売上向上を狙うのは後者のアプローチになります。

仕掛けは「行動をいざなう」ことで商品を知ってもらい、興味をもってもらうことに貢献するので、後者、つまり商品の認知を高めることに貢献できます。

価格に訴求するアプローチは基本的にはその分のコストがお店側に発生するので、なるべくしたくありません。一番よいのは、価格を下げることなく消費を喚起することでしょう。

そのようなアプローチはさまざま考案されています。

「人気No.1」「売上げランキング1位」「お一人様1品まで」「残りわずか」といった情報をPOP (Point of Purchase) でアピールする手法は、どのスーパーマーケットでもよく見られます。

これは、みんなが買っていること、人気商品であることを直接的、間接的に伝えることで商品の価値や魅力を高め、買ってもらおうとするものです。

しかし、情報にバイアスをかけて買わせるように誘導するのは、本当に欲しかったものではないものを買わせている可能性があります。

また、必ずしもそういった情報は真実とは限らないので、お店側の都合の良いように(たとえば不要品を処分することに)利用されているかもしれません。

そうなると、きっと家に帰ってから買ってしまったことを後悔することになるでしょう。

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