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TPPは米国の「善意喪失」を如実に示している ヒラリー政権誕生でも市場開放は望み薄

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TPPによる輸出入押し上げがあまり期待できない基本的な理由は、主要加盟国の農業以外の関税がすでにそうとう低く、仮にゼロにしても大差はないからだ。オバマ政権は他国に、米国市場へのさらなるアクセスを提案できたが、議会がTPP自体の批准を拒絶する可能性があったため、そうしなかった。

最大のものは米国のGDPの約1割を占める政府調達だ。現行の国際的な政府調達協定(GPA)では、米国は連邦政府と37の州政府が調達市場を海外に開放しているにすぎない。そして、調達全体のうち海外勢に開放可能なのは、国内調達を優先する法の規定もあって、2割に限られている。

2014年の時点で、米国の政府調達全体に占める輸入の比率は4.6%にすぎなかった。これは日本の4.7%と同程度だが、中国の6.15%や欧州連合(EU)の7.5%よりも低い。

TPPは「悲しい物語」

政府調達における輸入の割合が経済全体に輸入が占めるのと同じ13%まで高まるならば、米国の輸入はGDPの1%程度増えると試算されている。この増加分は、現行のTPPが完全に機能した場合の5倍に相当する。日本で同じことが起きれば約1兆ドル、カナダの場合は2650億ドル、それぞれ輸入が増える計算だ。こうした国々の市場開放が進めば、米国の輸出も増えるわけだ。

こうした調達面は、TPP交渉で事実上、重きを置かれなかった。米国はベトナムとマレーシアに調達政策の変更を求めたが、ITC報告書によると、米国がその見返りとして自国の政策を変えることは、ほとんどなかった。

TPP交渉で日本とカナダは都道府県や市区町村による調達を互いに自由化することで合意。オーストラリアやチリ、ペルーもこの互恵協力合意に加わった。しかし、米国はこの提案をすげなく断った。

悲しいことに、自国市場を精いっぱい開放しようとしないのは米国だけではない。TPPはまるで、機会が失われていく物語のようだ。

週刊東洋経済10月1日号
 

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