アジア発ブランド、続々“日本上陸”のワケ ファッション業界の欧米信仰が変わり始めた

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これまで同社は、海外進出では独自でやってきた。が、日本ではパートナーとして、百貨店アパレル最大手のオンワードホールディングスを選んだ。オンワード側が51%出資する合弁会社を設立。物件開発や販売員の接客、物流などでオンワードのノウハウを活用する。

低価格志向が追い風

チャールズ&キースの日本進出は、オンワード側から持ちかけた話だ。「ファストファッションの中で、初めて雑貨に特化して世界的に成功しており、日本にないジャンル」(オンワード)と期待する。

ファッションアイテムで、靴や雑貨は粗利益率が高いが、オンワードはこれらの売上高が全体の1割に満たず、強化の必要性を感じていた。加えて、百貨店販路が売り上げの7割強を占めており、急成長する駅ナカやSCへの出店を戦略的に進めている最中。こうした業態は価格レンジが低いため、5500~7000円の値頃価格帯の靴やバッグを得意とするチャールズ&キースは、願ってもないブランドだった。

日本におけるファッションの欧米ブランド信仰は薄れているものの、依然根強い。ただ、00年代以降は欧米発でも高級ブランドではなく、ZARAやH&M、フォーエバー21といった低価格のファストファッションが人気を集めている。

価格重視の消費者が増えた結果、日本市場でアジアブランドの勝算が出てきたという読みが、進出する側にはあるようだ。海外ブランドを国内で展開するルックは「ここ数年、アジアブランドが受け入れられるようになってきた」という。92年と01年に日本に参入し、2度とも撤退した香港のジョルダーノは11年に再び進出している。ユニクロへの対抗策を欲する日本企業が積極的に進出を支援する面もある。

業界関係者からは、「インドやフィリピン発のSPAブランドが日本進出を検討中」という声も聞こえてくる。先行する各ブランドが定着すれば、アジアブランドが大挙上陸する新時代の幕開けとなりそうだ。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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張 子渓 ジャーナリスト
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